Selection 5：神様との約束 ページ21
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その日、一希がバイクでやってきたのは
流石に境内まで愛車を乗り入れるわけには行かず、近くの駐車場の隅に置いて徒歩で向かった。
参拝を終えた人達だろうか―――
途中、お守りを握りしめ、楽し気に笑いながら 頬を染める女性達とすれ違う。
ここは、縁結びの神様が祀られている神社で有名らしく、
“恋がしたい”と願い事をすると 必ず叶うという噂があるそうだ。
その為か、参拝客は女性が圧倒的に多い―――
一希の身分不相応感が半端ではない。
少しの気まずさを感じつつも、ここまで来ておいて何もせずに帰るのは癪である。
変なプライドの後押しを受け、
境内に続く階段を登り切った先で、一礼して鳥居を潜る。
一希に、霊感やら
神社の結界ともいえる鳥居を潜った途端、凛と澄んだ空気に触れた気がした。
ここまで来ておいて、お粗末な話だが
一希は元々、神や仏を信じる方ではない。
エクストリームショーの成功は自分の努力の成果だと自負しているし、
勉強が出来ないのは神様のせいではなく、
自分が勉強していないからだと納得している。
だが神事は目に見える物ではないし、
先程も述べたように一希に第六感はない。
あれこれの噂の真相を探る事も、証明する事も出来ないわけだ。
そもそも、神様や神社等というものは、万人に優しいわけではない。
人と神様や、神様同士の相性なんかもあるのだと、聴いたことがある。
その為、複数の神社で購入したお守りを一緒に持ち歩くと、
神様同士が喧嘩してしまう事もあるのだとか―――。
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