Holistic Blue

Karte.9　新しい風　 ページ31

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8月も終わりに差し掛かり、
サロンの3つあるテーブルは、見事にグルーピングされていた。


一つはおばあさん世代が集まる健康相談所。
あの佐々木のおばあさんも、先日整形外科でコルセットと湿布を処方してもらったと、
まるで孫の写真でも見せるかのように処方箋を披露している。
まだ痛みが消えず、このサロンにはお嫁さんに送ってもらったとか。


二つ目のグループは、このサロンの掃除でも大いに活躍してもらった、赤石さんや森下さんのお母様方のグループ。
毎回来るときは総菜を持ってきて、サロンの掃除を行ってくれるため、
律にとっては頭の上がらない方々である。


三つ目は日向たち学生の、課題追い込み組。
夏季休暇が残り1週間となった今、溜まりに溜まった課題に冷や汗を浮かべている。
かく言う律も、夏季課題は残りの1週間で追い込むタイプであったため、彼等の気持ちはよくわかる。

一方日向は、課題を夏季休暇前半に終わらせてはいるが、受験勉強に集中しているようだ。
周りがこれほど騒がしくても、我関せずで青いペンを走らせるところを見ると、
彼の集中力はなかなかのものだと称賛する。




今日のひだまりサロンは、満員御礼―――賑やかである。






昼時分になると、第二テーブルのお母様方が動き出す。
カウンター奥のキッチンで、家の畑で採れた野菜なんかを持ち寄り、
簡単な物をと言いながらも、律では作らないような本格家庭料理を作ってくれるのだ。

先日は青椒肉絲と麻婆豆腐が食べたくて、豆腐と肉や野菜等を冷蔵庫に入れておいたところ、
律の意図を汲み取り中華料理がサロンに並んだ。

おかげでここ数日、体重と体力が戻ってきた気がする。




キッチンから美味しそうな香りが漂ってくれば、第三テーブルの学生達はそくさくと勉強道具を片付けだす。
血糖値が下がるこの時間は集中力も切れるため、合理的な休憩時間だ。
彼等はキッチンに向かうと、お母様方の指示に倣い食器運びを手伝い出す。

家ではお手伝いなどめったにしないというが、
サロンでは皆が自分のできる事(役割)を見つけて動いてくれた。

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