第24夜： 二重の罠 �� ページ42
「こんにちは、女将さん。お部屋借りたいのだけど、空いている？」
「待ってね―――……」
そう言うと、棚からふわりと帳簿らしきノートが浮かんでくる。
触ってもいないのにぺらぺらとページが捲られると、
女将さんは二階の奥の部屋が開いているよと声を掛けてくれた。
いつ見ても、”魔法”は摩訶不思議なものだ……。
「夕飯はどうするんだい？」
「そうね―――近くの酒屋で食べてくる」
「女の子が遅くまで飲み歩くんじゃないよ？」
「はぁい〜」
ニコリと微笑んで返事を返すと、隼は女将さんから部屋の鍵を受け取った。
「あ、女将さん―――これ貰ったの！私、こんなに食べられないからお店で使って？」
カウンターの上に置いた紙袋を差し出す隼。
追跡魔法を掛けられているとすれば、あの時触れられたリンゴだろう。
このまま部屋に持ち込むわけにもいかず、かと言って普通に処分したのでは追跡を警戒していることがバレてしまう。
体よく処分するには、人に上げてしまうのが手っ取り早い。
「いいのかい？いつも悪いねぇ〜じゃあ、明日の朝食はサービスしとくよ」
「ありがとう！」
隼はカウンター横の階段を上がると、一番奥の貸し部屋に入った。
パタン――――――
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「――――……逃げられてしまったか」
書斎の机に両肘をついて、リンゴに掛けた追跡魔法の気配を追っていたゼロは、にんまりと口元を綻ばせた。
『女性に追跡魔法をかけるなんて……悪趣味ですよ？』
隣に控えていたデュプリケートが、街への外出から戻ったゼロを嗜める。
見た目にそぐわぬ、もうよい年をしているというのに……
面白い事に関しては、倫理観が薄れてしまうのが彼の悪いところだ。
「ははっ―――見かけない子だから、ちょっと気になってね……」
『20年も里を離れていれば、“見かけない子”がいて当たり前でしょう』
「―――“ミスト”ちゃん……ね」
―――追跡魔法を鳥のようにひらりと交わしたのか…はたまた、ただの偶然なのか。
「この宿の周辺にある酒屋を洗い出しておいてくれる？
女の子が一人で入るに好みそうな雰囲気のお店…で」
ゼロはメモ紙を一枚、デュプリケートに渡す。
デュプリケートはゼロと同じ翠色の瞳を細めて宿名を暗記すると、指に炎を纏わせてメモ紙を焼いた。
『夕食までには用意しておきます』
そういうと、緑色の刺繍が施された白いローブを翻した。
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kohaku(プロフ) - レイレインさん» 有難うございます！師弟の回はもう少し続きます…！ (2021年5月27日 7時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - この陸翔と隼の関係、好きです！やっぱり結局は師弟なんだな。と温かくなります。 (2021年5月27日 6時) (レス) id: b67eda2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - いえいえ、こちらこそ身内みたいで見てて微笑ましいです！これからも身内みたいな幼馴染お願いします笑 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» すみません…CSの関係逸脱してしまっていますかね…（汗）ハノンさんの事は、身内のように心配して、大事にしています！（陸翔達のCSで、ハノンさんとの関係欄のセリフ参照位に…照） (2021年5月26日 18時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー(プロフ) - kohakuさん» よし、応援します！頑張れ！隼さん！ (2021年5月26日 18時) (レス) id: f5691cda52 (このIDを非表示/違反報告)
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