【Avatar Code（アバターコード）】 (ページ19)

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Code No　02　⑧ ページ19

顔を上げたAは、ニコリと笑顔を作った。

「お取込み中の彼女は、もういいの？」
「うん、いいよ」

彼の動揺を誘ったつもりが、凪は一寸も慌てる素振りなく、さらりと答える。

「あんな可愛い彼女がいるのに、私なんかと一緒にいるところを見られたら、また彼女怒らせちゃうでしょ？」

ちらりと凪の方を見ると、動揺するどころか凪は不思議そうな顔をして首を傾げた。

「…………もしかして、俺がアイツとキスしていたのをみて、ヤキモチやいてる？」
「なっ！！！そんなわけないでしょ？君が誰とキスしようが私には関係ないんだから！」

声を荒立ててしまうA。ここは大人の余裕を見せるはずが、完全に彼のペースに飲まれてしまった。くすくすと笑いながら、Aの首に腕を回した凪は、Aの額に小さくキスをした。

「可愛いなぁAさん。早くお家帰ろ？Aさん抱きたい―――」

Aの腕を引いて歩き出す凪の手を、力強く振り払うA。

ダメだ…流されちゃだめだ！

「そう言うのは恋人としてよ！年上からかって遊ぶのはやめて！」

自分がみじめに思えてくる。目頭がじんわりと熱くなる。

(泣くなA！よく知りもしない男の子の事で、絶対こんなところで、泣くものか！！)

声を荒立てるAに、余裕綽々としていた凪の表情が一変する。

「からかってないよ、俺が傍に居たいのはAさんだ。アイツはただの幼馴染だし…Aさんが嫌ならもうキスも、それ以外もしないよ？…約束する」

Aの手首を掴む凪に、その手を振り払おうと両手をばたつかせて拒否するA。
この状況、もうどちらが年上か分からない。“大人”を振りかざす余裕など、Aにはなかった。

「それ以外って…凪君は恋人じゃない人とでも誰とでもできる訳？！そんな人信じられないッッ、離して！」
「離さない！」
「―――ッ！」

どうして…そんなこと言うの？！

自分のバカさ加減に、涙が出てくる。―――そう、これは、バカな自分に対しての涙だ。

こんな子供に、泣かされたわけじゃない！
仔犬のように真っすぐに、自分だけに向けられた笑顔に、何かを期待していたわけじゃない！

ボロボロと、関を切ったように溢れるAの涙に、凪が急に慌てだす。

「ゴメンね…Aさん」
「謝らないでよ―――」

離された右手で涙を拭い、恥ずかしい泣き顔を隠す。