【WT】白い花束を君に【短編集】 (ページ7)

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3輪目　br　『空白む幸せ』ページ7

write：そらと。

【KEY WORD】
人物：Broooock
共通：テーマ「寝る」

特に何かあったわけではなかった。
ふと、深く潜り込んでいた意識が顔を出した。瞼が開く。
そこから感覚があるくらいにはハッキリと目が覚めた。
視界の端に映るカーテンの隙間から覗く空は、紫ともピンクとも言えない空で、
予定よりも随分早く起きてしまったとぼんやり思った。

『んん...なんじ...？』

軽く伸びをしてシーツに手を滑らしながらスマホを探す。
ふと、求めてた感触とは違う柔らかいものが触れた。
視線を落とせば、気持ちよさそうに寝息を立てるBroooockがいた。

私の腰に手を回してすり寄るようにしている。
一度寝ると彼はなかなか起きたりしない。むしろ寝すぎて寝坊することの方が多い。

顔にかかる赤茶色の前髪を指でよける。よく見えるようになった寝顔に思わず愛しさが心を染め上げる。そっと白い頬に指を滑らせた。

『かわいい...』

好きだなぁって気持ちが目覚めきらない頭に溶けて、ちょっと体をずらして彼の顔を正面から覗く。長いまつ毛が落とす影に吸い込まれるようにキスを落とした。

br「ん...」

『あ、起こしちゃった？』

薄く瞼が開いて青い瞳が見えた。

br「A...？」

『おはようBroooock』

舌っ足らずで掠れた声が私を呼んで、ゆっくりと瞬きをした瞳が微睡を残してこちらを見た。
それだけでも愛おしくて、大好きで私はまた彼の頬に唇を当てる。

br「んぅ...なに...」

くすぐったそうに身じろぎをしたBroooockは、私の腰へ回す腕に力を込めて一層強く抱きしめる。彼の匂いで肺が満たされて頬をすり寄せれば頭の上から「ふふ」と声がした。

br「Aかわいい～」

大きな掌が頬を撫でて少し上を向かせられる。
細められた深海のような瞳がゆっくりと瞬いて、近づいた。
ちゅ、と音を立ててキスをする。満足そうに微笑む彼は再び唇を合わせて、今度は下唇を食むように甘噛みをした。

br「ね...今日休みでしょ...まだ寝てようよ...」

そういう彼はもう半分夢の中にいるようで、少しずつ、少しずつ瞼を落としていく。

最後にもう一度キスをして、Broooockの背中に手を回す。

br「おやすみぃ...」

『うん、おやすみ』

もう一度唇に触れて瞼を閉じた。
なんてことない、幸せな日。