【WT】白い花束を君に【短編集】

2輪目　kr　『ねえ、あのさ、キミのこと』 ページ4

write：そらと。

【KEY WORD】
人物：きりやん
共通：文頭、文末のセリフ



好きになんてなってやらない



いつもは俺が触ると怒るくせに、自分の気が向いた時だけ抱きついて来るところとか。
ホント自分勝手。しかも後ろから。びっくりして変な声出せばめっちゃ笑ってきやがる。
それで俺が触ればまた怒る。なんだよそれ。



あ、あと。すぐ飽きるでしょキミ。
一緒にゲームしててもすぐどっか行っちゃうし。俺、木集めてって言ったよね？
それで一人で死ねばやる気失ってすぐやめようって言うよね。
俺はまだやり足りないから続けてれば足の間に入ってきてあーでもない、こーでもないって言ってくる。
もー、そんなこと言われなくても分かってるから。あと邪魔。後頭部しか見えない。



それにさ、滅茶苦茶好き嫌い多い。
逆にAが好きな食べ物探す方が大変なんだけど。
でも、俺の作った飯は絶対残さないよね。この前ちょっとイラっとしたから態と嫌いなピーマン出したんだけど、ちゃんと食べてたね。偉い偉い。
その日の夜一緒に寝てくれなかったけど、あれ仕返し？



寝るで思い出した。
どこかしこで寝るのやめなよほんとに。この前なんて玄関で寝てたでしょ？
俺あの時倒れてるんじゃないかって思ってマジで焦ったんだよ？
駆け寄った俺に対してキミなんて言ったと思う？
「3年目の浮気くらいは大目に見るから今はまだ早く帰って来い」って
古いし、浮気じゃないし、仕事で遅くなるって言っておいたでしょうが。
まあ、でも、待っててくれてありがとう。



でもさ、俺にそんなこと言うくせにさ自分はどうなの？
またそんな薄着で外出て。ほら、あの男とかあの店員とかみんな見てんじゃん。
やだって言わない。嫌でもこれ着てなって。Aのこと見てるのは俺だけでいいの。
ちゃんと危機感持ってよ。頼むから。
キミはお世辞抜きに可愛いんだから、すぐ俺の傍を離れないか気が気じゃないの。



まったく...俺の彼女は気まぐれで、飽き性で、偏食で、自由奔放。
それに面倒くさがりだし、頑固だし、周りに気を使い過ぎるし、地味に優しいし、プレゼントとか写真とかずっと大事にしてくれるし、俺が居ないとすぐ探しに来るし、一緒に寝れば抱きついてくるし、撫でれば嫌そうな顔してるけどちょっと嬉しそうなの知ってるよ？はぁ、可愛い。



そんなキミのこと



これ以上、好きになんてなってやらない。












ま、それが無理なことなんて




全部分かってるくせにな。

ゝ 『一枚上手と数枚奥手』→←ゝ 『報われない』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す