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｢さて、私も仕事仕事っと｣
｢3010番ちゃんはどこ行くの?｣
二酸化炭素を持って私も立ち上がると、4989番さんが尋ねてきた｡
｢肺です｣
｢じゃあ俺もそっち方面のパトロール行こうかな｣
いいのか、そんな適当なノリで｡
とは思ったものの、つっこまないでおいた｡好中球さんの大まかな仕事なら知ってるけど、詳しいことまでは知らないし｡そのうち教えてもらえたらいいなあ｡
トコトコと私の隣を歩く4989番さん｡ちょっと前までは考えられなかったや、お友達と一緒に仕事できるなんて｡
もちろんミヤちゃんとは何回も一緒に仕事してるけど｡結構行き先かぶるし｡
そうじゃなくて、赤血球以外のお友達とこうして肺に向かえるなんて想像できなかった｡
｢偶然ってあるもんなんですねえ｣
｢ねー!俺びっくりしちゃったよ｣
｢私もですよ｡あ、もしかしてミヤちゃんがよく話してくれる白血球さんのことも知ってたりします?｣
｢うーん……1146番のこと?｣
｢そう!その人!｣
話がどんどん盛り上がっていく｡
楽しい｡こうやって憧れの好中球さんとしゃべれることが｡
お友達として隣にいられることが｡
｢会ってみたいなあ｡ミヤちゃん、いつも嬉しそうに1146番さんのこと話すんです｣
｢そっか、この前はアイツいなかったもんねー｡危なっかしいところあるけどいい奴だよ｣
ここにいない2人の話でここまで盛り上がれるのすごくない?しかも私、1146番さんには会ったことないんだぜ?
かれこれ話しているうちに肺の近くまで来てしまった｡本当あっという間だった｡楽しかったからなあ｡
｢ねえねえ、3010番ちゃん｣
｢なんでしょう?｣
もう少しっていうところで4989番さんが突然話題を変えた｡もう本当に突然も突然よ｡
｢俺もAちゃんって呼んでもいい?｣
気づいたらなんか走っていた｡
あれ?何で私、全力疾走してんの?
Aちゃん!?って驚いた声が聞こえてハッとした｡でも止まれない｡
ピンポーン!というレセプター音と｢くっそ何でこんな時に!｣っていう言葉が私にまで届く｡それにかこつけて4989番さんから逃げた｡
Aちゃんって呼ばれるのが嫌だったんじゃない｡
ただびっくりして、恥ずかしくて、名前を呼んでもらうのがおそれ多かっただけなのに｡
返事すらできずに私は彼から逃げてしまった｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
