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｢あのっ、今仕事中なのでっ!｣
｢いいじゃんいいじゃん｣
｢ちょっとくらいサボってもバレないって｣
そういう問題じゃないんだよ!あんたらとお茶なんかまっぴらごめんなの!察せよ!
｢急ぎの仕事なんです、通してください!｣
嘘だけどね｡配達先はお姉さんのところだから多少の遅れは許してくれる｡逆に心配されるんだよね、何かあったの?大丈夫?って｡でも馬鹿正直にそんなこと言ったらこいつらに連行される｡嘘も方便｡こういう時こそ嘘をつこう｡
｢真面目ちゃんだな〜、えらいえらい｣
｢でも息抜きも大事だぜ?｣
何でこんなに私が焦っているかと言いますと、悲しいことに例のクレーマーとばったり会ってしまって｡なんとこの前のお詫びにお茶しようと言ってきた｡今回は本当にツイてない、もう1人連れがいるんだから｡
仕事中だからとやんわりと断ろうとしたんだけど、相手がしつこいのなんの｡ジリジリと壁際まで追いつめられてしまった｡
このままでは連れていかれてしまう｡まずい、誰か……｡
……あー、皆見て見ぬふりしてる｡そりゃそうか、誰だって面倒ごとには首突っ込みたくないもんね｡分かるよ、私も先輩が同じ状況にいたら絶対助けてやらないから｡ハッ、日頃の私に対する態度が悪いからだぞ先輩｡これを機に行いを改めるんだな｡
って違う｡実際に先輩は絡まれてない、絡まれているのは私だ｡しっかりしろ、現実逃避するな｡
今日はキラーTさんも見当たらないし、自分でなんとかしないと｡
おいおいおい!私これでも好中球さんたちに、ミヤちゃんのセコムって言われてるんだぞ｡怒らせると怖いんだからな!
……はあ｡そう言えてたらなんてことないんだけど｡言ったところで無駄かもしれない｡
｢黙ってるってことはオッケーなんだよな?よし、じゃあ行こ行こ!｣
｢や、ちがっ｣
無言を肯定と都合のいい方にとったらしく、私の方に手を伸ばされる｡やめろ、嫌よ嫌よも好きのうちなんてあんなの幻だから!ああ、考え事なんかするんじゃなかった!
ぎゅっと目をつぶって現実から目を背けた｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
