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いやはや、生きてると何があるか分かんないっていうけど、あれ本当だね｡うん、身をもって知ることになったわ｡なかなかないよね、レアだレア｡
｢ったく、何回言えば分かるんだよ｡だからさー｣
まあ、できることなら経験したくはなかったけど｡
いわゆるクレーマーってやつだ｡これが私のミスによるものだったなら、こちらから文句は言えない｡気の済むまでクレームつけてくれてかまわないし、相手の気が済むまで謝り倒すさ｡だって私の方に非があるんだからね｡
でも違うんだよ、今クレームつけてきた細胞さんは私の担当じゃないの｡
ある程度担当箇所は決まってるし、たまに代打で他回ったりするよ?だけど最近はそれもなかった｡つまり私はこの細胞さんに配達したこと、今まで1回もないんだよ!今日が初対面なの!
｢申し訳ありません｡しかしそれは担当の赤血球に言ってもらわないとだめなんです｡私にはどうしようもなくて｣
｢ああ?別に誰に言ったってかまわねえだろ｡あんたも赤血球なんだから、なんとかしろよ｣
もうやだ｡このやりとり何回目?私に言ったって無駄なんだってば!
これがさ、酸素が段ボールに入ってなかったとか二酸化炭素を回収してくれなかったとかなら多少は対応できるんだよ｡でもさ、箱がひしゃげてたって言われたって手の施しようがなくない?中身に問題はなかったらしいし｡
｢はあ、埒が開かねえな｣
奇遇だな、私も同じことを考えてたよ｡
数度目のため息を飲み込んでいると、突然腕を掴まれた｡
は?
｢全然話つかねえから実物見にきてくれよ｡そうすりゃ対応もできんだろ｣
何言ってんだ、この細胞｡私じゃ対応のしようがないって言ったじゃん｡話聞いてた?
｢あの、私、細胞さんに配達が｣
｢いいからいいから｣
よくねえよ!すっごいグイグイ引っ張ってくるじゃん｡痛いんですけど!26さんたちの紳士さを見習え、なんなら弟子入りしてこい!
カートの持ち手を握って必死に連れていかれないように抵抗する｡でも若干この細胞の方が力が強い｡ヤバ、もう……｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
