62 ページ22
*
「お、Aちゃんじゃん」
時透くんの一件から1週間、いよいよゴールデンウィークが明日から幕を開ける今日、私と実弥くんは恒例となっている鍋をしようとなった。一緒に買い物をして帰ろうとなっていたのだが、実弥くんから何も連絡がなく、彼が講義を受けている教室に訪れれば後ろの机に座っている宇髄先輩が声をかけてくれた。
「どうも、実弥くんは」
「あれ。」と笑いながら指を指すその先には、先生にガミガミと言われている実弥くんがいた。何でも今日提出のやつを忘れて怒られてる、と。
「…あちゃ」
「あれは長くなりそうだな」
そういや、と宇髄先輩は私を見た。小首を傾げれば、「誕生日どうだった。」と。時透くんのこともあって、バタバタしていたこともあり聞けなかったから気になっていたと宇髄先輩は話してくれた。頬杖をつきながら、私を見る宇髄先輩は普通にかっこいい。実弥くんが1番だけど、変な意味はなくてって誰に言ってるんだ、と自分にツッコミをいれた。
「…あんなにお祝いしてもらったのは初めてで、…幸せでした。」
もう1ヶ月以上も前のことだというに、目を閉じれば昨日のことのように思い出せる。思い出す度に胸が温かくなる。夢のような時間で、本当に夢だったんじゃないかと思ったこともあったが、首元にあるネックレスと携帯の写真フォルダに残る写真が、あの幸せな時間が現実なんだといつも教えてくれた。
「そっか、よかったよかった」
「不死川、相当調べて張り切ってたからよ」としみじみと笑った。その笑顔に私もつられて笑った。実弥くんを見れば、先生からのお叱りはまだ続いているようでうんざり、とその顔に書いてあった。
「いやにしても、本当にAちゃんたちが付き合うとはな」
「え?」
「…あ、もしかして、知らねぇやつ?」
何のことかさっぱりわからなかった。すると彼は、「あいつならまあ確かに言わねぇな」と言い、その後すぐに口角を上げて、あのなと。先輩の話を聞けば聞くほど恥ずかしくもなったが、それよりも私は嬉しくて仕方なく、頬が緩まずにはいられなかった。ちょうどその時、先生から解放された実弥くんが戻ってきた。「内緒な」と意地悪く笑う宇髄先輩と、頬を染める私を交互に見た実弥くんは訝しげな表情を浮かべていた。
391人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
環(プロフ) - 蓮ちゃんんんんんん!番外編!さねみんバースデー書いてくれてありがとう!!!!喧嘩してるはずなのに心がぽっかぽかになりました…!!また蓮ちゃんのさねみん読めて幸せです!!最後のむいくんも最高でしたっ!ほんとにありがとう!実弥さんお誕生日おめでとう! (2021年11月29日 22時) (レス) @page50 id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 蓮ちゃん…!番外編書いてくれて本当にありがとう!久しぶりに蓮ちゃんの通知が来て大興奮したよ!可愛くて初々しい二人にニマニマしてました!大好きなお話です!お蔵入りにならなくてホントによかったぁー!!! (2021年11月29日 21時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - 蓮ちゃん番外編ありがとう!!!久々に蓮ちゃんのお話が読めて嬉しい!!すごく、幸せな気持ちになりました!!本当にありがとう!!たまに息抜きで戻ってきてな! (2021年11月29日 21時) (レス) @page49 id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 蓮ちゃん番外編!!書いてくれてありがとう!やっぱりれんれんの文章はとても読み応えがあって引き込まれます。ってコメを残そうとしてよしいつもの1コメの人まだいないよっしゃーって思ってたら取られてたぁぁぁぁぁぁ← (2021年11月29日 21時) (レス) @page50 id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 番外編ありがとうそして久しぶりの夢書きお疲れ様おかえりなさい大好きです!!もう、ちょっと細部まで語りたいのでここではあえて書きませんが本当に文章といいキャラ同士の掛け合いといい全てが好きです最後のむいくんにもニヤケ止まらんかった!さねみんおめでとう! (2021年11月29日 21時) (レス) @page50 id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蓮 | 作成日時:2021年2月25日 21時