ホイップ増量で。2【不死川実弥】

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「僕の方が片想い歴長いですから。」



簡単に諦めきれないですよ。そう時透くんは言い切った。今日は帰る、と私に手を振って駅に向かっていった。宇髄先輩と顔を見合わせて、はぁ、と1つため息を零した。



「ありがとうございました…、助かりました」
「いいっていいって。」



「ほんとすげぇな、あの1年」と腰に手を当てて感心していた。どこぞの少女漫画だ、と戸惑いながらとにかく実弥くんのことが頭から離れなかった。



「実弥くん、気にしてましたよね」
「あー、まぁ、…派手にしょげてたな」



想像通りの言葉に私は肩を落とした。結局、時透くんにも話せなかったし宇髄先輩にも迷惑をかけてしまい、自分では何も解決できない不甲斐なさに私は襲われた。



「まあ、でも不死川なら大丈夫だと思うぞ」



Aちゃんのこと大好きだからさ、あいつ。さらっとこうも照れてしまうことを宇髄先輩は言った。真っ赤だ、と私を指さした。



「俺バイクだから、家まで送ってやろうか」
「大丈夫です、…悪い人じゃないんで」



ありがとうございました、と頭を下げて爽快な笑顔の宇髄先輩に手を振った。電車に揺られながら、実弥くんのことを考えた。私が好きなのは実弥くんだ。実弥くんと一緒にいたい。彼の笑顔が私は大好きなんだ。この気持ちを伝えたい。





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バイトが終わり、最寄り駅に不死川が着いたのは23時を過ぎた頃だった。するとポケットに入ってる携帯がブルブルと震えた。画面を見て不死川は頬を緩めた。通話ボタンを押せば、不死川が何よりも大事で大好きな声が耳元に響き、不死川はさらに頬がだらしなくなってしまった。



「実弥くん？…、バイトおつかれさま」
「おォ、どうしたァ」
「今から行ってもいい？」



Aからの急な誘いに嬉しさが込み上がるも、咄嗟にダメだと口が動いてしまった不死川はすぐに危ないから俺が行く、とAに四の五の言わせず、待ってろとだけ告げて通話を切った。不死川は自分の家を通り過ぎて、Aの家に向かった。Aはどこか不安げな声だった。それを思い出した不死川は居ても立っても居られず、ついに走り出した。インターホンを押してすぐに開かれた扉の奥に、Aの姿を見た不死川は安心感に包まれ、勝手に身体が動いてAを抱きしめた。

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