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閉じられていた瞼が、ピクリと動いて薄暗い室内がぼんやりと映った。閉じられたカーテンの隙間から朝陽が溢れていた。朝だ、と認識し起き上がろうとすれば自分の腰に実弥くんの腕が回されていたことに気がついた。口を半開きにして、無防備に寝息を立てる姿はあどけなくて可愛らしい。晒された上半身にはぷっくりと筋が膨隆しており、目のやり場に困惑した。
「…かわい。」
きめの細かい頬をするりと撫でる。ん、と一瞬眉間に皺を寄せたのでびっくりしたが、特に起きる様子もなくすうすう、と寝息だけが響いた。
…ただただ、幸せなひと時だった。昨夜のことを思い出して私は1人口角を上げた。そのまま擦り寄るように実弥くん胸元へ。彼の匂いが充満してそれだけでこの上ない幸せを感じた。その時、もぞもぞと私が動いたことで実弥くんは目覚めた。うつらうつらな実弥くんは、はよォと言いながら私をぎゅっと抱きしめた。
「おはよう、実弥くん。」
「ん」
朝が弱いのか、中々眠気が覚めない様子の実弥くんは子供みたいで、その姿はとにかく可愛くて、同時に私だけに見せてくれているんだと思うと嬉しくて、つい彼の頭を撫でてしまった。やめろォ、と言いつつも気持ちよさそうな実弥くんは、寝ぼけ眼で私にキスをした。
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「その歌、私も聞いてるよ」
あれから実弥くんの提案で一緒にお風呂に入ることになった。恥ずかしいと断固として拒否していれば、もう全て見た、と核心をつかれ渋々入ることにした。後ろから抱きしめられるような形で湯船に浸かった。恥ずかしさは勿論あるものの、昨夜と同様幸せが勝った。私の後ろで、実弥くんは歌を小さく歌っていた。
「…この歌、…いや何でもねェ。」
その歌というのが、唯一無二の存在と出会った僕が、この人のために生まれてきたと一見静かだけど激しい恋心を歌ったラブソングだった。言葉が詰まる実弥くんをジーッと見れば観念したように、この歌はAだな、と頬を染めた。ありがとう、と歯に噛めば、ばーかとお湯をかけられた。
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環(プロフ) - 蓮ちゃんんんんんん!番外編!さねみんバースデー書いてくれてありがとう!!!!喧嘩してるはずなのに心がぽっかぽかになりました…!!また蓮ちゃんのさねみん読めて幸せです!!最後のむいくんも最高でしたっ!ほんとにありがとう!実弥さんお誕生日おめでとう! (2021年11月29日 22時) (レス) @page50 id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 蓮ちゃん…!番外編書いてくれて本当にありがとう!久しぶりに蓮ちゃんの通知が来て大興奮したよ!可愛くて初々しい二人にニマニマしてました!大好きなお話です!お蔵入りにならなくてホントによかったぁー!!! (2021年11月29日 21時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - 蓮ちゃん番外編ありがとう!!!久々に蓮ちゃんのお話が読めて嬉しい!!すごく、幸せな気持ちになりました!!本当にありがとう!!たまに息抜きで戻ってきてな! (2021年11月29日 21時) (レス) @page49 id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 蓮ちゃん番外編!!書いてくれてありがとう!やっぱりれんれんの文章はとても読み応えがあって引き込まれます。ってコメを残そうとしてよしいつもの1コメの人まだいないよっしゃーって思ってたら取られてたぁぁぁぁぁぁ← (2021年11月29日 21時) (レス) @page50 id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 番外編ありがとうそして久しぶりの夢書きお疲れ様おかえりなさい大好きです!!もう、ちょっと細部まで語りたいのでここではあえて書きませんが本当に文章といいキャラ同士の掛け合いといい全てが好きです最後のむいくんにもニヤケ止まらんかった!さねみんおめでとう! (2021年11月29日 21時) (レス) @page50 id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年2月25日 21時