ホイップ増量で。2【不死川実弥】

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先輩と晴れてお付き合いすることになり、早くも3週間が経過した。


あの公園での夜のことを蜜璃ちゃんに伝えれば、彼女は顔を真っ赤にしながら涙を流し私をいつものように抱きしめてくれて、彼女に釣られて私も涙を流した。大学の友達には好きな人がいることは伝えていたが、それが不死川先輩でありかつ付き合ったと聞いて、阿鼻叫喚の如く騒ぎ立て、質問攻めの嵐を起こしたが、心から祝福してくれた。

お付き合いしてからすぐ期末試験になってしまったためデートの1つも出来なかったが、忙しい合間を縫って電話を掛けてくれた。変わらない優しさに胸がいっぱいで、耳元から聞こえてくる優しい声に泣きそうになった。



　
「…どうぞ」
「お邪魔します。」



そして、期末テストも終わり長期の春休みが幕を開けた。電話中に聞いたのだが先輩は先日、成人の日を迎えていた。帰省した先で成人式に参加するため、ギリギリまで帰省していたらしくカフェに行けなかったと、彼は話してくれた。ごめんな、と律儀に謝ってくれる真面目なところも好きだと思い、本人はいないのに勝手に照れてしまった。

それと同時に、成人を迎えたというのに何もお祝い出来ていないと気付いてしまった私に、気にすることないと言うも、何か彼に贈りたいと思った私が頭を悩ませ絞り出したのが、彼の好物であるハンバーグを作ろうというものだった。



「適当に座ってて下さい」
「なんか手伝う」
「ダメです、…先輩は今日の主役なので」



キッチンに入って来ようとする先輩を、手を広げて制していれば何を勘違いしたのか抱きついてきた。鼻を撫でる彼の甘い香り、じんわりと伝わってくる温もりが、甘い波となって脳内を侵食していく。「ありがとな」といつものように頭を撫でてた彼は、意地が悪い顔だった。…わざとだ、と思うもまんざらでもない自分がいるため、彼を激しく責め立てるなんてこと出来なかった。

熱りを冷ますように、頬を両手で軽く叩きキッチンに立った。

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