ホイップ増量で。【不死川実弥】

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それから大学内や唯一被る授業で先輩たちに会う度に、彼らは笑顔で声をかけてくれた。

後輩の私から挨拶しなくちゃなのにビビりな私は出来ずにいた。だけどそれを咎めることも嫌な顔もせずに笑いかけてくれるのだから、2人には頭が上がらない。



「Aちゃん今日も可愛いな、不死川？」
「……。」
「はは、ありがとうございます」



最初はこの会話にもドキドキさせられていたが、海外でいう挨拶に軽いハグをする的なことだと思えばどうってことなくなった。

ひょんなことから先輩たちと仲良くなって、もう既に1ヶ月が経とうとしていた。気づけば11月の中旬で、街の秋色が深まって所々で冬の音(ね)が混ざるようになってきた。



……今日も今日とてバイトである。そして今日は木曜日だった。

仲良くなってからも、やっぱり不死川先輩は木曜19時に必ずお店に来てはミルクティーを注文し、いつもの定位置へ。

何してるんだろう、2年生ってやっぱりレポートとか大変なのかな。

と、先程来店しミルクティー片手にパソコンを見つめる先輩を見ながら考えていた。



「先輩また来てるのね」
「うん、レポートかな？」
「そうじゃないかしら？学年が上がるとレポートとか増えるって小芭内さんも言ってたわ」



小芭内さん。物凄くナチュラルにその名前を口にした蜜璃ちゃんはなんか可愛い。

Aちゃん？と不思議そうにクスクスと笑う私を見る蜜璃ちゃん。いつしか顔を赤く染めて変なこと言ったかしらって、慌てだす蜜璃ちゃんがまた可愛くて仕方ない。



「…悪りィミルクティー、もう一杯いいかァ」
「あ、ごめんなさい！わかりました」



話に夢中で、レジまで先輩が来ていたのに気づかなかった。慌ててミルクティーとホイップを打ち込めば、先輩もホイップ分のお金を出す。最近は言わずともお互い、ホイップ増量の前提で進む。



「もう少しかかるので席まで持っていきますね」
「……ッス。」



ペコリと小さく会釈して戻る先輩。ミルクティーを作りながら、もう少しで期限切れのケーキがあったと思い出す。

店長は相変わらず事務作業に夢中だし、と思えば自然とトレンチにはミルクティーとケーキのお皿。

先輩に？と小声で聞いてきた蜜璃ちゃんにコクリと頭を振れば、素敵だわ、といつもの蜜璃ちゃん。

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