ホイップ増量で。【不死川実弥】

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不死川実弥、宇髄天元。


友達によれば、彼らはこの大学では結構有名人らしい。その雰囲気と美貌と存在感にやられる女子が多いという噂だ。



…私、疎いんだな。



先輩2人と別れた私は、お昼を食べながら少々興奮気味の友達と彼らの話をしているわけだ。

でも確かに、先輩たちの存在感は凄まじいというか、髪色も奇抜なせいか余計にというか。

とはいえ、話してみた感じと昨日のこともあり優しい先輩たちという印象ではあった。

…自分から話しかけに行くとかはないだろうけど。




「そういえばA、次の小テストさ」
「え、小テスト？」
「え？」



お箸で掴んでいた唐揚げ丼の唐揚げがボトリ、と音を立てて白米の上に落ちた。


…なんだって！？


唐揚げ丼を目にも止まらぬ速さで口に掻き込み、血眼で小テストの勉強をする私を憐れな目で見る友達。


そんなのも露知らず、3限までの30分間でどうにかこうにか小テストを乗り越えた私の脳内にはもう2人の先輩はいなかった。




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「Aちゃん可愛いじゃん不死川」
「…あ？」



大学構内にあるラウンジは、多くの学生が昼食を取ったりレポートをやったりと、学生たちには欠かせない場所である。

そんなラウンジで、怪訝そうにパソコンと睨めっこしている不死川に宇髄は先程出会ったAの名前を口にした。

すると、それを聞いた不死川の顳顬はピクリと動くも、それさえも面白くてしょうがない宇髄だ。



「悪りぃ悪りぃ、つい、な？」
「…死ねェ」
「でも普通に可愛いよな」



大学生にしては珍しいストレートのロングの黒髪。程よく上がる睫毛に、くすんだ色のナチュラルなアイメイクがどこか控えめな感じの彼女にぴったりである。

恋愛感情とは別に普通に可愛いと、男ならば思うのではないだろうかと宇髄は思っていた。

そういう意味で宇髄は不死川にも同意を求めたわけだったが、そういう意味じゃないというのは不死川を見れば一目瞭然だった。



「……。」



…可愛い、と耳たぶまで真っ赤に染め上げて俯く不死川の姿に宇髄はたじろいでしまった。

こりゃ末期だ、と思いつつこれから先の不死川が楽しみで仕方ない宇髄は、エールも込めて大の甘党の不死川にチョコの包みを1つ渡したのだった。

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