16:こみ上げる罪悪感 ページ16
*
降りしきる雨の中、大量のケーキの材料を二人で分けて持ち、
同じ傘で店への道を歩く。
時々肩が触れて。
その都度離れるけど、またすぐに当たるくらい近くなる距離に
なんだか少しだけくすぐったい気持ちになる。
「肩、濡れちゃう。もっと傘そっちに…」
「いいよ。どうせ最初から濡れてるし蒸し暑いからちょうどいい」
「でも…」
「あ〜、でもやっぱ歩きはキツイかな？荷物重くない？ヌナ」
「全然！毎日ケーキ作ってるから力強いんですよ？」
「そう？そんなに細いのに？」
傘の下、私を見下ろして微笑むﾄﾞﾝﾍさんにキュンとして
思わず目を逸らしてしまう。
「ﾄﾞﾝﾍさんこそ、重くないですか？私の倍は持ってくれてるけど」
「全然？俺も毎日トレーニングしてるから大丈夫だけど
やっぱタクシーに乗ればよかったかな？」
「こっちに来てからタクシーに乗ったことないんです」
「え？そうなの？」
「はい。いつもはジョンスの車だし、一人の時はいつも自転車なので…」
「トゥギヒョンの運転、怖くない？」
「ああ〜、確かに(笑)」
「でしょ？なるべくヒョンの助手席には乗らない方がいいよ」
「ひどい、ﾄﾞﾝﾍさん」
私がジョンスと付き合うようになってからは
ジョンスと一緒に時々立ち寄ってくれるようになり、
私の事をヌナと呼んで慕ってくれるようになった。
相変わらず口数は少ないけど、それでも前よりは話してくれるようになって
今日のﾄﾞﾝﾍさんはよく喋ってくれるから、
雨の中、少しずつ手に食い込む荷物の重みも気にならない。
このままずっと辿り着かなければいいのに…
……今私、何考えてた…？
急にジョンスの顔が浮かんで、罪悪感が胸にこみ上げる。
「着いちゃった…」
ポツリ、頭の上から小さな声がして。
見上げたら、少しだけ眉を下げたﾄﾞﾝﾍさんが店を見つめて何か呟いた気がした。
「今何て…？」
「ううん、なんでもない。それよりこれ、早く入れないと」
「あ、そうですね！ごめんなさい。今開けますね」
降り続く雨のせいか、まだ早い時間だというのに辺りはすっかり夕暮れ時で
すぐに暗くなりそうだった。
店の鍵を開けて、電気のスイッチを押す。
「あれ？」
「どうしたの？」
「電気がつかなくて」
「ブレーカー落ちてるのかな？どこ？」
「あ〜、ブレーカーお店に…」
そう言って視線を移した時。
壁にかけられた薔薇が、うっすらと浮かび上がるのが見えた。
*
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りゅう(プロフ) - さくらこさん、ステキなお話をありがとうございました♪ブラックドンヘ？？と思いながら読み始めましたが、ステキなラスト♪ほんまにさくらこさんのドンヘをはじめとするメンバーへの愛が溢れてました♪またお話楽しみにしてます♪暑いからお身体ご自愛くださいませ♪♪ (2015年8月7日 15時) (
レス) id: 8614525c3d (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ちかさん» ちかさん、コメントありがとうございますm(_ _)mトゥギもドンヘも実際どんな感じなんだろう…妄想の中だけでも、こういう人なんだと思いたいですよね〜。これからもたのしんでいただけるように頑張ります！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - よぅちゃんさん» よぅちゃん、コメントありがとうございますm(_ _)mコメント欄がトゥギを偲ぶコメントで溢れて…いつかちゃんとトゥギも幸せにしてあげなきゃね^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - さるるんさん» さるるんさん、コメントありがとうございます！お、さるるんさんのお話読ませていただいてますよ！嬉しいいです！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん、コメントありがとうございます！レス遅くなってごめんなさいm(_ _)mトゥギは私のお話の中でいつもこういう役回りなのでちゃんと幸せにしてあげないといけないですよねwwいつかトゥギも書けるかな^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらこ
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2015年5月26日 15時
