Where is She？〜Donghae〜

17:捕まる ページ17

*



薄暗い小さな店内の厨房に置かれた大きな冷蔵庫に、
2人で買ってきた材料を入れていく。


傘を私の方に多く差してくれていたﾄﾞﾝﾍさんの左の肩はびっしょり濡れていて
狭い空間で見る真っ白いTシャツ越しに透けている素肌にドキドキして。


その音が聞こえてしまうんじゃないかと気が気じゃなくて
奥に置いてある洗ったばかりのバスタオルを取りに離れた。


馬鹿…何意識してるんだろう。
ﾄﾞﾝﾍさんはナナさんの好きな人で。

それより何より、自分だってﾄﾞﾝﾍさんのお兄さんのような人と
付き合ってるのに…


ふぅ、と一つ息を吐いて。


「ﾄﾞﾝﾍさん、これ」


振り向いたﾄﾞﾝﾍさんに、バスタオルを差し出した。


「え…？」


驚いたように私を見つめるﾄﾞﾝﾍさんの前髪からポタリと水滴が落ちて、

ﾄﾞﾝﾍさんの睫毛がまるでスローモーションみたいに数回瞬いた。


その深い瞳に吸い込まれそうになって動けなくなる。


一向に受け取る気配のない、持ち上げたバスタオルは行方を失って。


「どうしたの？」

「……いい、帰るから」

「…え？」


必死で平静を保とうとして聞いた言葉に帰ってきた返事に

明らかに落胆してる自分がいて…


思わず出た声に、心の中を読まれるような気がして。


気づかれちゃいけない。

動揺してるのがバレちゃいけない。

ううん、動揺なんかしちゃいけないんだ。


だって私には、ジョンスという恋人がいるんだから。


私はただ、恋人の弟の心配をしているだけなんだと

変にヌナぶってﾄﾞﾝﾍさんの肩にタオルを押し付けた。


意地になってたのかもしれない。

肩に置いたタオルを払いのけられて。


たったそれだけのことで、胸が痛くて。


「ダメよ、叱られちゃう」


そんなこと、思ってもないくせに。


「……誰に？」

「………ジョンスに…」


ジョンスの名前を出すことで、心にブレーキをかけようとしてたんだ。


だけど＿＿＿


不意に手首を掴まれて、びっくりした拍子に持ってたバスタオルが足元に落ちた。


「ﾄﾞﾝﾍさん…？」


見上げたﾄﾞﾝﾍさんの目が、瞬く間に水分量が増していく。
その目から逃れられないまま見つめ合う。


「ヌナは…ズルい」

「……え？」

「俺がどんな思いでいるかわかる？」

「どういう意味…？」

「どういう意味……？こういう意味…」


ﾄﾞﾝﾍさんの潤んだ瞳の訳も、言葉の意味も。

理解する前に、一瞬で私はﾄﾞﾝﾍさんの唇に捕まった……



*

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