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柊「ある刑事の話をしよう」
柊「その男は、かつて教師だった。
生徒一人一人に真摯に向き合うような強い心根を持って欲しくて
時には体罰も厭わないような教育は批難の声も上がったが、改心する生徒は大勢いた。
…でもある日
一人の生徒が集団暴行を受けて、亡くなった。
加害者は他校の生徒だった。
男は、教え子を救えなかった自分を責めたが
その怒りと悲しみを犯罪そのものに向けた。
弱者を傷つける犯罪を横行しない世の中にする。
そして男は刑事になった。
その男は自分が味わった負の感情をはね返して
明日を生きる活力に変えたんだ。
ここにいる二人もそうだ。
真壁は
自分が選手として復帰できなくなった時に、相手を憎むのではなく、サポートする道を選んだ。」
翔「……」
柊「熊沢だって、本当は景山に対して複雑な想いが抱いていたはずだ。
でも、彼女に勝とうと努力をして
負の感情を跳ね返した。」
花恋「……」
柊「里見
お前はどうだ?
逆境を乗り越えようとしたか?
傷ついた悲しみを明日の活力に変えられなかった。
それが、お前の弱さ__」
海斗「うるせぇんだよ!!」
海斗は、机を押して、立ち上がった。
海斗「うるせぇんだよ!
うるせぇんだよ!
知ったような口聞きやがって!」
海斗は翔の胸ぐらを掴んだ。
海斗「なんで俺がコイツより弱ぇんだよ!
可笑しいだろ!?
何でだよ!
…こんな奴に負けっかよ…!こんな奴に…」
翔「…」
海斗「何だよ
何だよその目は…!
何なんだよ!!」
さくら「真壁くんは弱くなんかないよ。」
さくらは海斗を強い眼差しで見つめながら言った。
Aは、涙を落としながらその言葉を聞いた。
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作者名:ちょこみんと。 | 作成日時:2019年4月7日 19時