「…めずらし」 ページ27
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｢…、…A？｣
のぞむに呼ばれて、はっと我に返った。
｢あ、ごめん。何の話だっけ｣
｢やからー、ともひろがな、買い主さんと喧嘩してもうた話、前にしたやろ？それが無事、仲直りできたんやって。ほんま良かった！｣
のぞむが自分のことみたいに喜んでる。
…あれ、その話、前に聞いたっけ。
思い出せなかったけど、でも仲直りできたなら良かった。
ともくん、買い主さん大好き！って感じだったし。
きっと、買い主さんもいい人なんだろうし。
｢良かった。やっぱり仲良しなのが一番だもんね｣
｢俺らみたいに？笑｣
｢本当、よくそういうこと言えるよね笑｣
微笑んだら、のぞむも楽しそうに笑う。
それから、すっと真剣な顔をした。
｢仕事、大変なん？めっちゃ疲れてへん？｣
｢アルバイトじゃなくなったからね。そのせいかも｣
｢でも、ぼーっとしとること、多ない？｣
｢え、そう？そんなことないよ？｣
｢…なら、ええけど｣
｢のぞむ、心配し過ぎ。まだ新しい仕事に馴れてないだけだから、大丈夫だよ｣
思わずふふ、って笑ったら、触れるだけのキスされて。
｢好きな人のことは、何でも心配なるやろ？｣
なんて、至近距離で、そんなセリフ。
｢…うん、ありがと｣
のぞむにそっともたれかかる。
このまま寝れそうなくらい、眠たい。
｢ベッド、行こ？｣
｢うん、｣
返事はしたけど、立ち上がれないかも。
｢のぞむ、連れてって…｣
両腕を、のぞむの首に絡ませる。
｢…めずらし｣
ひょい、と抱きかかえられた。
本当に抱っこしてくれるくらい大きくなったんだなあ。
ベッドに優しく下ろしてくれて。
視界の隅に、のぞむ用にって用意した布団。
結局あまり使ってないけど。
｢のぞむ、一緒に寝よ。ぎゅってして｣
無意識にそんな言葉が口から出た。
やっぱり、ちょっと疲れてるのかも。
｢Aが言うんやったら、しゃーないな！｣
のぞむが、だらしないくらいにやけてる。
そういうとこ可愛い。
｢いい匂いする。のぞむの匂い、好き…｣
すりすり顔を胸に埋めて。
眠気が増していく。
｢匂いだけ？｣
のぞむの自信に満ちた質問と、それとは反対に、ばくばくいってる鼓動が聞こえる。
｢んーん、全部、好きだよ…｣
｢っ、俺も。俺もAの全部が好きやで｣
ふわふわ、意識が遠退いて。
嬉しいのぞむの言葉を聞きながら、眠りに落ちた。
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藤崎リコナ - このシリーズのお話大好きで、何回も読ませていただいてます！何回見ても泣いちゃいます (2016年10月18日 1時) (
レス) id: ee5122baa7 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - 読ませていただきました！後半から涙が止まらなくて、今顔ぐちゃぐちゃですか 。感動しました。ほかのシリーズも楽しみに読まさせていただきます！ (2016年9月22日 17時) (レス) id: 514c52e757 (このIDを非表示/違反報告)
あんぬ - 感動しました！短編での小瀧も楽しみにしています！！ (2016年6月20日 12時) (レス) id: 865d5d2189 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - 途中からどんどん切なくなってきて……もう涙が止まらないです(;_;)でもこのお話大好きです！ (2016年2月25日 1時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 泣きました!もう、そりゃ、すごい量でした・・・。でも、すごくおもしろかったです！望くんの短編もっと読みたいです！ (2016年2月21日 18時) (レス) id: 997f1647f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2015年12月9日 2時
