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「なきすぎ、」 ページ31

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初めてのキスは、砂糖菓子みたいに甘かった。

ゆっくり唇を離す。

これで起きなかったら、何回もするぞ。

とか、柄にもないことを思う。



「ともひろ、戻ってきて、」



この数日間、自分でも呆れるほど、私は駄目だった。

踏んだり蹴ったりとは、まさにこのことで。

日常でのドジや、仕事でのミス。

どうしたの?って、編集長に言われちゃうくらい。

本当に、本当に、調子が出なかった。

こんなに大切な存在だなんて、気が付かなかった。

ともひろの胸に、顔を埋める。

例のごとく邪魔になりかねないキツネは、早々に枕元に避けておいた。



「…ん、」



微かな声が聞こえた。

思わず反応して、顔を上げたら、



「…A、なきすぎ、」



って、ともひろが、ぎこちなく笑ってた。



「ともひろ…っ!」



ぎゅっとしがみつく。

いつかと立場が真逆だ。

ともひろは、動かしづらそうな腕を動かして、私の涙を拭ってくれた。



「…もう、このまま、しぬんや、て、おもっててん」



Aを怒らせた罰やね、ってともひろが力なく笑う。



「ごめん。私、何も分かってなかった。それなのに、あんなひどい事言ってごめん」



「…なんや、あっくんたち、ばらしたん?」

さぷらいず、やったのに



むすっ、て頬を膨らませて。

せっかく内緒で練習してたんやけどなあ、って。



「私、ともひろが私のこと嫌になったんだって思ってた。だから、勝手にイライラして、こんな目に合わせて。本当にごめん」



「…Aのこと、いやになるわけ、ないやん。めっちゃ、すきやもん」



そう言って、恥ずかしそうに微笑む。



「私も好きだよ。ともひろのことが、大好き」



大きくなってから、初めて伝えた。

もう、息子とか、弟とか、そういうんじゃなくて。

本当に、好きなの。

ともひろは目をまん丸にして、それからはにかんだように笑った。



「…ふふ、うれしっ」



にこにこ微笑むともひろを、私はぎゅっと抱き締めた。






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「おやすみ」→←「ねえ、起きて?」



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凜望 - 最高です!神ちゃんのこともっと好きになりました! (2016年2月26日 0時) (レス) id: f55ca5bc68 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - ほっこりしました(´∇`)このお話読むとほっとするんで何回も読み返したくなっちゃいます!! (2016年2月25日 2時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
山田淳 - もう、神ちゃん天使でした!!ずっとキュンキュンしてました♪のんちゃんのやつも絶対読みます。これからも頑張ってください!! (2016年2月7日 22時) (レス) id: 4ab1e02086 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ@薮 光∞慧(プロフ) - すっごく面白かったです!可愛い神ちゃんを想像しながら読んでました。こんな人形実際にあったらいいなぁ、笑 更新お疲れ様でした。望の方も読ませていただきますねッ (2016年1月31日 15時) (携帯から) (レス) id: 405256a79f (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 完結おめでとうございます!すごく神ちゃんかわいかったです^ ^神ちゃん担なのですごく嬉しかったです!のんちの方も楽しみにしてます! (2016年1月16日 20時) (レス) id: 5b58b1eaf5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉莉花 | 作成日時:2015年11月26日 23時

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