恋を知らない君に、僕が恋を教えよう。【無性愛者と幼馴染の恋物語】IV

65 ページ2

.









濱ちゃんの口から語られた真実。それを聞いてのんちゃんは何も言えなくて。重い空気が漂う。









そのタイミングで、チラっと濱ちゃんを見たら、たまたま目がばっちり合うてもうて。









｢…あ、えと｣









｢ん？｣









焦ってつい言葉を発してしまった。何か話題、何か話題って自分の頭の中の引き出しを、そこらじゅうあさる。









｢…あ、そうや！…あのぉ、前に駅の喫茶店で、たまたま濱ちゃんと流星見かけてんけど、あれって何してたん？｣









今ではもう潔白となった濱ちゃんと流星の関係。気になってたから聞いてみた。









｢…ん？…あぁ、あれは流星が淳太のために指輪買ってんけどサイズ調べてへんくて、俺に聞きにきててん｣









｢あ、なるほど｣









俺は普通に納得してふーんとか言うてたけど、隣ののんちゃんは眉間に深いシワを寄せてて。









｢…なにそれ｣









｢…のんちゃん｣









｢…兄ちゃんと流星でお揃いとか、きも｣









｢へ？｣









｢あかん、俺無理や。兄ちゃんと流星とか、うわぁ｣









唖然としてる俺と濱ちゃんに対し、いつもの笑顔でそんなことを言うたのんちゃん。









｢指輪とかモロやし。てか流星の趣味疑うわ〜、兄ちゃんは無いわ〜｣









｢んふっ、せやね｣









やっとのんちゃんに笑顔が戻った。やっといつもののんちゃんの調子が戻った。それだけでこっちが笑顔になる。









｢いや〜、ほんまに。二人のバカップルぶりは凄いで？多分目の前におったらのんすけ耐えられへんと思うわ〜笑｣









｢やろうな〜｣









ほんまの事が知れて安心したんかも。流星とのんちゃんの兄ちゃんの事を、すっかり笑い話に出来るほど。









とりあえずひと安心した。俺のした事は、とりあえず不正解ではなかったみたい。のんちゃんの心の傷が、少しでも癒えてると良いな。









.

66→←64

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す