お礼とお誘い ページ42
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Tomohiro side
あれから月日は流れて、
ドラマの撮影も中盤に差し掛かってきた。
ちょっとは頼ってくれるようになったAちゃん。
喋ることも多くなって、って言っても
2人でとかは数少なくて、ほとんど大人数でやけど。
でも、ちょっとでも距離が縮まった
という事実が嬉しかった。
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あのメールをして次に会った時。
『お礼をさせて欲しくて、何か欲しいものとか…
あっ、でも、残らないものの方がいいよね!』
多分彼女の気遣いで残らないものが良い
と思ってくれたんだろう。
その優しさが素敵やなって思う。
お礼なんてええでって言おうと思ったけど、
Aちゃんの性格上、
それじゃ納得してくれなさそうやし、
そこはお言葉に甘えさせてもらおう。
でも、
その時は結局何も思いつかず『考えとく』と答えた。
それで今日、
そのお礼でお願いしたいことを言うねんけど…
周りにスタッフさんも居るし、
変な噂が回ったらあかんから、
話すタイミングを考えてる。
「昼休憩です」という声が聞こえて、
共演者の人たちもケータリングに向かってるから、
そっとAちゃんに声をかけて、場所を変えた。
智「あんな、前お礼がしたいって
言ってくれてたやんか。
それでお願いしたいことがあって…
でも、その話がちょっと長なるかもやから、
この後時間あったらご飯どうかなって思って…
淳太も居るんやけど。」
『あ、うん!大丈夫。淳太くんも居るなら!』
最後の言葉がちょっと嫌で
「俺と2人っきりやったら断ってた?」
って聞いてしもた。
『ううん。嫌とかでは全然ないんけど、
2人っきりやと撮られたりするとあれやから
いつもお断りしてるねん…』
智「そっか、そうやんな!
変な事聞いてごめん。
お店の名前送っとくから、夜の7時待ち合わせで」
『了解!』
その時に、
他にも誘ってる奴いっぱい居るんやって改めて思う。
この先、ガードのかたい彼女に
どうやってアピールすればええんか…
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作者名:コスモス | 作成日時:2020年4月24日 14時