heroine① (ページ23)

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｢大変です！！！敵の襲撃です！｣

城直属の兵士が部屋に上がり込み叫んだ。

｢なんだって！？｣

その声に召使いの手に乗っかった翔もパチッと目を覚ます。

｢どこだ！？｣

｢何者かはまだ未確認ですが、今城下の農場を荒らしこちらに向かっています！！｣

ガチャン！

カップの割れる音が響いた。

｢農場って…あそこには俺の両親が！｣

和也は顔を青ざめた。

大事な大事な農場を荒らされ、その上両親の命までも危険にさらされたとしたら…。

｢とにかく、姫様を安全なところに！王子様も！｣

そう言われ兵士たちは智たちの手を引く。

しかし、和也は言うことを聞かなかった。

｢俺は行かない！親父やお袋を助けに行く！｣

｢何言ってんだ！今城から出るなんて危険すぎる！｣

部屋から出ようとする和也を松岡が引き止める。

｢じゃあ俺の両親が死んでもいいっていうのかよ、あんた！？｣

｢そういうわけじゃない。ただ、おまえを危険にさらすわけにはいかない｣

｢知らねぇよ！！離せ！！！｣

｢おい！｣

懐に隠したナイフを振り回し、松岡の手を逃れ走りだした。

｢…カズ！｣

後に続くように、油断していた兵士を蹴り上げ智も追いかける。

予想外のことに、全員血相を変えた。

｢おい！！！あいつらを連れ戻せ！！！何かあったら俺たち全員腹切りだ！！！｣

松岡が叫び、兵士たちが重い鎧をつけ一斉に走りだした。

｢ちょ、俺たちは…！？｣

誰もいなくなった部屋で３人の王子は呆然と立ち尽くす。