heroine① (ページ2)

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王は肌の色も、顔立ちもバラバラなこの世界に厳しい規則を作りたくはなかった。
男は男を愛してはいけない、肌の色で人を差別する、そんな国にはしたくない。

智は昔から女の子のような顔立ちで姫様と慕われてきた。
今こそ姫として、王子を婿として迎えこの城を継がせるべきだと考えている。

｢男と結婚するのはいいよ？でも父ちゃん、俺にだって選ぶ権利くらいあるだろ｣

｢もちろんだ。そう言うだろうと見込んで、今日４人の王子たちを呼んでいる｣

｢…うぇっ！？今日？？｣

婿探しなど遠い未来のことのように思っていた智は、びっくりして目をパチパチさせた。

｢松岡、こい｣

｢はい、失礼します｣

智の付き人である松岡が王室に入ってきた。

｢松にぃ｣

智は松岡のもとへ駆け寄りぎゅっと後ろから抱きつく。

｢松にぃ助けて。俺結婚しちゃうんだ。父ちゃんを止めて？｣

うるうるの上目遣いで懇願するが、いつもお願いごとを聞いてくれるはずの松岡が今日は顔を反らした。

｢智姫、王様の願いは絶対ですから｣

そう言って膨れっ面の智を横目に王室のドアを開放した。

するとぞろぞろとキラキラした格好の男の子たちが入ってくる。

智は目をキョロキョロさせながら彼らを見る。

｢あっ｣

ふと、見知った人を見つけた。

｢翔くん…？｣