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「これね、ここで煙草吸えるように買ったんだ。いいでしょ」
「うん。クッションふかふかだね」
「そうそう。防水シート張ってあるから急な雨でも大丈夫だし。高かったけど絶対あったら便利だなって思ったから」
「ふーん。翔くんすごいなぁ。俺の部屋からの夜景なんてちっぽけに感じるな」
ぐでんと背もたれに腕をかけ足を伸ばし、夜空の星を見上げる。
今日は三日月が顔を出している。
その周辺には数え切れないほどの小さな星があって、瞬きするとまたひとつ、ふたつと増えていく。
綺麗だなって、酔った頭でもちゃんと感じ取れた。
「ここに来て、一緒にこの夜景を見れたらなって思ってた。夜になって月を見上げると、気付いたらあなたのことを考えていて。会うのはいつもこういう晴れた空で、月が綺麗に見える日だったなって、感傷に浸ってた」
「翔くん…」
「余裕ぶって退職の挨拶なんて言って呼び出したけど、本当は智くんの顔を見ただけで胸がいっぱいで。今日までどれだけの時間考え込んであなたに会えるようこぎ着けたか…自分でも恥ずかしくなるくらい、いっつもこの椅子に座って考えてた」
「えっ…？」
「わかってる？俺、あなたを口説くためにここに呼んだの」
うそ。
どうして、そんなこと。
俺たちはあれが最後で、もうそういう気持ちは捨てたとばかり思っていた。
確かに今日、心のどこかで期待していた。
そりゃ、好きだった人に誘われたらそうならないわけがない。
でも、そんなこと考えるなんて、あまりにおこがましいと思った。
もちろん既婚者だって隠していた彼に責任はあるけど、かといって俺も知っていたわけなんだから。
それでも翔くんは俺を選んでくれようとしたのに、ずっとその言葉を待っていたはずなのに、悔しさのあまり拒否してしまった。
「俺、別れたんだ。離婚した。あの日の晩すぐに切り出した。好きな人ができたって正直に」
最初奥さんは当然のごとく癇癪を起こし彼に当たった。
でも翔くんは頭が良くて、今までの言動をすべて日記につけ、録音までしていた。
これがあれば、離婚の責は奥さん側にあるとされ、モラハラで訴えることもできるだろうって突きつけた。
その時ようやく、奥さんはこれまで自分が彼にして来たことを反省し、やり直せないか持ち掛けたらしい。
でも、翔くんの意思は固かった。
なぜなら、俺の存在があったからだ。
彼は離婚して、本当に俺と一緒になりたいと考えてくれていたのだ。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
