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「ど、どうも」
軽く会釈をして抜け出そうと彼の脇を通り過ぎるも、すぐに腕を掴まれ引き戻された。
「なんで避けるの？」
「えっ！？」
「目も合わせてくれないし。俺がドタキャンばっかりしてるから怒ってるの？」
「そ、そういうわけじゃ…」
「ごめん。全然会えなくて」
「ちょっと…！」
そう言って身体を抱き寄せられた瞬間、反射的に胸を押し返し突き放した。
翔くんはびっくりして、行き場のなくした手を中途半端に上げたまま。
「し、仕事戻らなきゃ」
「、待ってよ！」
「なに…！？」
先ほどよりも強い力で引っ張られると、奥まで引きずり込まれ壁に追いやられた。
「もう、会いたくないってこと？」
「それは、」
「今ここで事情は話せないけど、会いたくないなんてひとつも思ってないから。だから、もう怒らないで」
話してもらわなくてもいいよ。
もう、知ってるし。
せっかく気持ちが冷めるかなって思ってたのに。
鼻と鼻がくっつきそうなほど顔を近付けて、頬を指先で擽られる。
顔を見るとまた熱が戻ってきそうで、必死に目を伏せて見ないようにした。
もうすぐで唇が触れる…ってときに、彼のつけてるインカムから声が漏れ出した。
『櫻井さん、Aゲートでお客さんトラブルです。対応お願いします』
それを聞いて、はぁ、とため息をついた。
俺といえば、ほっと胸を撫で下ろしていて。
でも、一瞬顔を上げたときに見た彼の表情があまりにも真剣で、ゾクッと身体が唸るようだった。
「帰り、また会いに来るから」
いつもの低い声で囁かれれば、ひと溜まりもなかった。
翔くんは仕事の顔になって走り去って行った。
俺は力が抜けてその場にしゃがみこむ。
結婚してるくせに、俺に会いたいってどういうこと？
所詮、いいように使ってるだけなのに。
たまたま身体の相性がよくて、レスだったから会いたいんでしょ。
男同士だから、浮気だって疑われないし。
だから、利用してるんでしょ。
俺の気持ちに気付いてるくせに、どうして会いたいなんて口にできるの？
表情とは裏腹に優しい声を思い出すと、胸が苦しくなる。
そもそも、熱が冷めるなんて、まったく根拠もない自信だったのかもしれない。
冷めるどころか、こんなふうに顔を合わせただけで痛みがどんどん膨れ上がる。
こんなことで泣き出しそうになる自分が嫌い。
優しくされただけで嬉しくなる、単純な自分が。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
