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「どうしてだろうね。俺にもわからない」
彼は静かに口にした。
「わからないって…こんなことしてるのに、何も思ってないってこと？」
「そんなことないよ。話してて楽しいし、顔とか身体とか、綺麗だなって思うし」
「んっ…」
人差し指で真ん中のラインをなぞられる。
また、ごまかしてる。
答えてるけど、核心はつかない。
翔くんは、ずるい。
「ちょっと、やっ…」
「声もかわいいしね」
胸元に手を這わされビクッと肩を跳ねさせる。
「その程度ってこと、？」
「ん？」
「本当は翔くんにもっと俺のこと見てほしい…」
胸に置かれた手の上に自分のを重ね、ぎゅっと握った。
顔、身体、声。
そんなのじゃなくて、聞きたいのはもっと別の言葉なのに。
これ以上うまく伝えられない自分にも嫌気がさして、視界が涙で滲んだ。
「そんなに見てほしいの…？」
「あっ…」
流し終えた身体を冷ます間もなく、背中と膝の裏に手を入れ抱えあげられた。
「しょ、翔く…！」
浴室を出ると、バスタオルを乱暴に顔が隠れるように被せられる。
抱っこされた状態で廊下を抜けると、寝室の扉を明け、ドサッとベッドの上に下ろされた。
バスタオルにくるまりながら、この状況に興奮する身体を慎めようと深呼吸する。
でもそんな暇は与えないとでも言うかのように、すぐ仰向けにさせられると、首筋に唇を押し付けられた。
まだ少し濡れているせいか、熱の籠った身体にひんやりとまとわりつく。
「いいよ、ちゃんと見てあげる。でも、何を見せてくれるの？」
「何って…」
「俺に見てほしいんだよね。なら、自分からできること見せてよ」
ぐいっと足を広げられ、煽るような言葉を次々と吐き続ける。
俺はバスタオルを握りしめながら今にも涙が零れ落ちそうな瞳を彼に向けた。
こんなの、違う。
こんなことしてるのを見られたいわけじゃない。
本当に見てほしいのは、もっと内側の部分で。
もっと内面を覗いてくれたらきっと、普通の恋愛ができる気がするのに。
そうしてくれないのも、わざとなの？
「はぁっ、ぁ…」
「かわいい。もっと声出して」
耳元で囁かれるだけで爪先がじんと痺れるよう。
自分の手で愛撫する強さはどんどん増していって。
見られてるだけで、こんなに気持ち良いのに。
どうしてこんなに切なくなるのだろう。
つらく流した涙も、今はただ彼の目を楽しませる一部でしかない。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
