�� ページ32
「だから、次目を離したりしたら、マジで俺がもらうから」
智くんが、そんな風に思っていてくれていたなんて。
それどころか松潤がそれほどまでに彼に想いを寄せていたとは考えもしなかった。
あの場限りの気持ちで、とうに失ったものだと思い込んでいたから。
思えば、そんなはずはない。
だって俺でさえ、出会った頃から比べると言い表せられないほど彼が好きなのだから。
顔を見れば見るほど、話せば話すほど、触れれば触れるほど。
想いは止まることを知らない。
これだけ人に想われているのだからこそ、しっかり守らないといけないのだ。
誰がどう見ても自分以外の恋人はありえない。
そう思われるくらいの人間にならなければ。
「ん…」
絶妙なタイミングで目をパチパチと瞬きしながら智くんが起床した。
下でうーん、と伸びをしながら目を擦ると、ようやく俺たちが二人並んで座っていることに気付く。
「しょうくん、と、じゅんくん…」
ほっぺたを腕にくっつけたまま、毛布を顎辺りまで被って、上目遣いで見上げる。
そうすればもう、俺たちはひと溜まりもない。
「お前、その自覚のなさも大概にしたら？」
「ん？なにが？」
「櫻井ですら、口開けて固まっちゃったよ」
「…翔くん？」
少し起き上がって、芝生に手をつき、さらに顔と顔の距離を縮める。
寝起きでふわふわの髪が少し乱れているところも、あくびをして涙を溜めている目も、鼻を啜る仕草も、すべてがかわいい。
「智くん」
「わぁっ…なにぃ？」
そのまま抱きしめると、ぼんやりと力のない声を漏らす。
「俺、もっとあなたにふさわしい男になるから」
「…はぁ？」
結構かっこつけて言ったつもりなのに、なんだその反応は！！
ふさわしい男になるとはいえ、まあまあ傷付くぞ…。
「だっ、だから！これからも俺と一緒にいてって話！！」
「うん…当たり前じゃん」
翔くん変なの。
そう言って、頭を胸元に預けた。
気付けば松潤はいなくなっていて、少し早い朝方の広場には二人きりになった。
また胸元で微睡みの中にいる智くんがかわいくて、ぷくっと柔らかい頬を指先でつつく。
すると、それに反応して少し笑みを浮かべながら首に腕を回した。
「邪魔しないでよ」
尖らせた唇は目の前のそれに重なって、そのまま木がゆっくり倒れていくみたいに、抱き合ったまま芝生に転がった。
誰も、邪魔なんかしない。
邪魔されたって、俺の目にはもう、彼以外映っていないのだから。
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富喜田 - 大野さんが凄く可愛かったです！ 櫻井さんsideは初めてだったので、 読んでいておもしろかったです。 続きを楽しみにしています！ 私の毎日の楽しみになっちゃってます！ (2020年8月15日 18時) (
レス) id: cb1ca5340c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - naoさん» そうですね、貴重なご意見ありがとうございます！ (2020年8月9日 6時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君って矛盾してますよね。自分がされて嫌なら潤くんとのキスも思わせぶりな態度も改めればいいのに。 (2020年8月9日 2時) (レス) id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2020年7月25日 13時
