�� ページ31
「正直、櫻井って奥手で、気遣いに欠けるし、童貞だし…智の恋人にしちゃ出来損ないだと思ってる」
ましてや、迷子にさせるなんてありえない。
今まで何度も危ない目に合ってるのを見てきただけに、次同じことが起こらないよう阻止しないといけないのに。
智に危機感がまったくないのは承知済みだが、だからこそ恋人が守ってあげなきゃいけない。
「恋人のくせに、手を繋がないなんてありえないし、目を離すなんて論外。あいつは智の恋人である自覚が無さすぎて…イライラが爆発して、あんなこと言った」
「でも、手繋いで目も離さないなんて、子供じゃあるまいし…」
「それだけ魅力的だってことだよ。その辺に転がしとくだけで悪い虫がつきそうなのに、俺だったら外にも出したくないね」
「ふふっ、それじゃ引きこもりじゃん！」
本当にそう思っているのだけど、本人はわからなくていい。
自分が守ってあげたかった。
でも、一番大事なのは智の気持ち。
自分の何が劣っているのかはわからないが、彼がいいと言う方を尊重してあげたい。
好きという気持ちを束縛していいのは、恋人と認められた人間だけなのだから。
「ほんっと、恋人でもないやつのキスとか黙って受け入れて、押し倒されたりして。だから心配になるんだよ」
「だって、潤くんだからそうしたんだよ」
「え？」
「潤くんは、大切な友達だもん。誰よりも信頼できる、俺の少ない大切な大切な友達」
そうでしょ？
その瞳からでも純粋な気持ちが伝わってくる。
本当にそう思っているのだからこそ見せられる笑顔だった。
「…ありがとう、」
「ん？」
「ずっと友達でいてくれて」
抱き寄せた体はほんのり暖かくて、潮風でベタついた肌も気にならなかった。
「さ、そろそろ行こう。櫻井が気付いて迎えに来るかも」
「迎えに来たらまずいの？」
「そりゃね。俺とキスして抱き合ってたなんて知ったら嫉妬狂うんじゃない？」
腕を引いて立たせると、ふと視線を動かした先に、道路の街灯に照らされた黒いシルエットを発見した。
「ねぇ、ちょっと怒ってるフリしていい？」
「えっ、なんで？」
「だってムカつくじゃん。俺と智の時間まで邪魔しに来られるなんて」
「う、ん…何の話？」
訳がわからないと言いたげな彼をよそに、もう少し恋人でいさせてやろうかなと心で呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 156人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
富喜田 - 大野さんが凄く可愛かったです！ 櫻井さんsideは初めてだったので、 読んでいておもしろかったです。 続きを楽しみにしています！ 私の毎日の楽しみになっちゃってます！ (2020年8月15日 18時) (
レス) id: cb1ca5340c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - naoさん» そうですね、貴重なご意見ありがとうございます！ (2020年8月9日 6時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 大野君って矛盾してますよね。自分がされて嫌なら潤くんとのキスも思わせぶりな態度も改めればいいのに。 (2020年8月9日 2時) (レス) id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：京
| 作成日時：2020年7月25日 13時
