帰ろう、あの家に ページ32
『どう、して。ここに...』
「貴女を連れ戻しに来ました」
安室さんが目を細め柔らかく笑う
「先程話を聞いてたが、Aが居なくなるイコール俺らの幸せにはなりえないんだ」
赤井さんが電柱に持たれかかりながら視線を真っ直ぐにぶつけてくる
『どう、して。そこまでして』
「言ったでしょ、真実はいつも一つだって。これが僕らのたった一つの真実」
「いつも危険を顧みず他人の事ばかり。いい加減自分の幸せを願ったら？」
皆の痛いほどに伝わる温かい想いにツゥと涙が零れ落ちる
『私、きっとまだ兄の事忘れられない。前みたいに精神的に壊れるかもしれない。それでもこんな私でいいんですかっ...！？』
皆の側に居る事が許されるのか。叫ぶようにして言えばコナン君と哀ちゃんが大きな瞳で見上げてきた
「4万km離れてても守ってくれるんじゃなかったの？」
「それに僕達の事守りたいって言ってくれた。Aさんが僕達を守りたいように、僕達の方だってAさんを守りたい」
本当、泣かせてくれる。こんなにも必要とされて振り払う事など出来るわけない
「Aさんの真実は？」
私の真実、それは
『...皆とこの場所で居たい。あの家で、兄の...帰りを待ちたい』
これが私の本当の気持ち
だがコナン君は苦々しげに顔を歪めた
「Aさん、ジンはもう...」
『コナン君、それ以上は言わないで』
分かってるよ、お兄ちゃんがもう帰って来ないのは。いくら待ち続けても駄目なんだって
でもそれが私の真実なら皆の側で笑って、あの家でお兄ちゃんの帰りを待ちたい
目元を擦り涙を拭きながら空を仰ぎ、ゆっくりと流れる雲に笑みを溢して来た道を引き返す
「Aさん何処行くんですか？」
『退学届取り下げに行きます』
微笑みながら言葉を返す。夢も目標もまだ決まってないけど諦めるにはまだ早い筈だ。この町で守りたいものが増えたから
足取りを軽くしながら私とお兄ちゃんの家へと向かった
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礼 - 感動しました…。 (2021年12月7日 15時) (
レス) @page34 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 続き書いてほしいです（泣） (2021年6月13日 0時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - やばい…気がついたら泣いてた…こんなに素晴らしい物をありがとうございます…！！ (2021年5月2日 22時) (レス) id: cf6373e776 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 続編お願いします！！！！！！！！ (2020年10月2日 20時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 感動しました泣。ジンと夢主が再会してほしいです。(ToT) (2020年6月16日 3時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンドウ | 作成日時：2018年11月10日 6時
