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私にとって姉のような人 ページ17

「Aなら、バーボン見たらうっかり口滑らせそうじゃない。嘘つけないし。それを見て探偵君がAをほっとく訳ないでしょ?そう上手く行くわけ無いって思ってたけど、面白いぐらいその通りになったわね」

ええ、もう本当に。そのまんまですよ。手に取るようにバレてんな

「...組織は大きく動く。もうこれ以上Aを側において守れないの。

だから小さな探偵に貴女を託した。これが本当の狙いよ」

その言葉を聞いて自分自身に笑えてくる

私、どれだけおんぶ抱っこされて生きてきたんだろう。しまいには年下に託してでも守ろうとしてるなんて

「その写真はAにあげるわ」

『でも...。大切なものじゃないんですか?』

「そうね。でも、誰にとって大切か考えたらAが持っておくべきだわ」

差し出した写真を押し返される。確かに私にとっては両親の思い出の品なんて無いから嬉しいけど...

『...私が持ってても、いいんですか?』

「そうしてちょうだい」

そんな優しい笑顔で、声で言われたら受け取らない訳にはいかない

取り合えず、テーブルの上にそっと置いた

程なくしてお互い背筋を伸ばして向き合う

「A。私達もこれが最後よ。もう会わない」

『はい。分かってます』

分かってると答えても分かりたくない

兄に言えない事、失敗した事、いつも話を聞いて慰めてくれたのはベルモットさんだった

同じ女同士として気持ちを理解してくれて、時には叱り、時には一緒に喜んでくれて

兄と同じぐらい近い存在だった

そして今日、また大切な人と別れを告げる

『ベルモットさん、ありがとうございました』

「私の方こそありがとうA。美しい兄妹愛は私をも変えてくれたわ」

最後に強めに抱擁をして離れる

人との別れが決して辛いだけのものでは無いと思いたい。きっと意味があって私を成長させてくれるのだと

玄関先まで見送り、いつも通り別れ際に手を振る

閉めた扉に背を向け家の中を歩く

もう煙草の匂いもお酒の匂いも残ってない

何も匂わないこの家がこんなにも寂しいものだったのかと気付くのはいつも失った後








閉まった扉に背を向けバイクのキーを取り出したが、この家を忘れまいと目の奥に焼き付ける

「第三者の介入、それはAがこっちの世界に干渉しどう動くかにかかっているわ」

既に見えないAの姿に語りかける

全てを託して

人生→←一枚の写真



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- 感動しました…。 (2021年12月7日 15時) (レス) @page34 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続き書いてほしいです(泣) (2021年6月13日 0時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - やばい…気がついたら泣いてた…こんなに素晴らしい物をありがとうございます…!! (2021年5月2日 22時) (レス) id: cf6373e776 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編お願いします!!!!!!!! (2020年10月2日 20時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 感動しました泣。ジンと夢主が再会してほしいです。(ToT) (2020年6月16日 3時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リンドウ | 作成日時:2018年11月10日 6時

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