透明な君と【Fischer's】 (ページ39)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:36,088 hit

さんじゅうきゅうページ39

貴「ふぅ…｣
1人になった病室でため息をついた

もう少し早く病院に来ていれば
なんてもう遅いのに

頭痛、目眩、吐き気
手足の痺れや、視力の低下

聞かされた症状は驚く程に一致
間違いなくもうすぐ私は死ぬ

貴「モトキくん、撮影頑張ってるかな…？｣
顔を浮かべるだけで気持ちが楽になる

Aさんの傍にいる
今日は撮影行かない

そう言ってくれるのは嬉しいけど
迷惑をかけていそうで…

沢山の人がモトキくんの姿を待ってる
私だけのために傍にいてもらうことは出来ない

キラキラと輝く素敵な笑顔
私がそこに惚れたように

ファンの子達だって
そこが好きなんだろうな

私が死んだらモトキくんは…
他の女の子と付き合ったりするのかな…？

想像すると少しモヤモヤする
ﾓﾄｷ「Aさん？｣

貴「も、モトキくん！撮影は？｣
そんな汚い気持ちは悟られちゃダメ

モトキくんの迷惑だもん
幸せな人生を邪魔しちゃダメ

ﾓﾄｷ「終わったからダッシュで帰ってきた、Aさんは考え事？｣
そういったモトキくんの額には汗が

急いできてくれたことが嬉しい
貴「うん、考え事…かな？｣

ﾓﾄｷ「そっか、暇だったら本持ってきてあげようか？｣
本を読んでいたら

全て忘れられるから
汚いことを考えなくてもいいんだ

貴「お願い出来る？｣
ﾓﾄｷ「いいよ、明日持ってくるね！今日は俺と話そうよ｣

そう言って笑うモトキくんを
独り占めすることはやっぱり出来ない