透明な君と【Fischer's】 (ページ25)

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にじゅうごページ25

貴「涼しいね」
ﾓﾄｷ「だね、やっぱ自然に囲まれてると違う」

カエルの鳴き声が聞こえるなんて
俺の住んでるところじゃまず無いしね

Aさんには少し大きい羽織は
体格差を意識させられてしまう

貴「明日はどこに行くの？」
ﾓﾄｷ「近くに海があるからそこに行こうと思って」

入る予定は無いけど
足だけ、とかならいいかな

貴「そっか、楽しみ」
楽しそうに笑うAさん

今日はAさんと2人きりだし
折角の旅行だし

たっぷり愛してやるんだから
別に成人した男女が付き合ってんだから

珍しくもないでしょ？
Aさんは2回目だし

分からないことだらけだろうし
貴「結構歩いたね、そろそろ戻ろう？」

ﾓﾄｷ「そうだね、Aさん疲れてない？大丈夫？」
大丈夫だよ、っと微笑んでくれた

手を繋いで旅館に戻ると部屋に行って
ベランダにある椅子に座って外を眺めた

さっき歩いた道が小さく見える
ﾓﾄｷ「そろそろ布団敷こっか」

貴「うん、私も手伝うよ」
そう言って立ち上がったAさんをもう一度座らす

ﾓﾄｷ「大丈夫、俺がやるからさ」
Aさんは座ってて、と言うと

お礼を言ってまた外を眺めた
押し入れから布団を出して

丁寧にベッドメイキングをする
学生の頃も泊まりのイベント事に

何度かやってるけど
その頃から得意だった気がする

動きにくい浴衣で布団を敷き終えた
ﾓﾄｷ「Aさん、出来たよー」

貴「ありがと…えっ、1組しかないの？」
頷いてから口を開くと

ﾓﾄｷ「うん、だから…」
貴「ならフロントに…」

俺の言葉を遮ったAさん
ﾓﾄｷ「違うって！一緒に寝よ、ってわかんないの？」

目を見開くAさんを見て
やってしまったと思うけど

ここで引いてしまうとカッコ悪い
なんて思ってしまうのが男で…

ﾓﾄｷ「Aさんはここで寝て。俺はソファーで寝るから」
驚いた顔に後ろ髪を引かれつつも

ロフトへと続くはしごを登った
貴「モトキくん…！」

俺を呼ぶAさんの声に
足が止まりそうになりながら