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広大な ページ8

「A、今日は俺と一緒に本部に行くぞ。特別に首領から許可が出た」
『許可……、とは』
「簡単に言えば俺が非番の時だけ幹部執務室に入室ができる、って言う許可だ。
しかも人の出入りはあんまねェ。つまり、だ」
『つまり……???』





笑みを溢す中原さん。
一体何が待ち受けているのだろう。
期待と、嬉しさが増した。






「“一日中二人きりってやつだ”」















「中原さんおめでとうございます、ゴホッ…ゴホッ…」
「芥川、まさかそれは御祝儀か……?」
「中也さんから聞いたのですが相当な料理の腕前とか、どうすれば男の胃袋を、愛を掴めるのですか!?」
「樋口ッ!手前は余計な事を……!!」
「ベストマンは太宰君でいいかね?」
「ボスそれだけは止めてください」
「ねーねーチュウヤのどんなところが好きなの??」
「エリス嬢…!!」






朝玖時。幹部執務室には十人十色のマフィア職員がわらわらとAと中也に寄ってたかっている。彼等は中也の隣にいる愛らしい娘を歓迎しに来たのだ。中也の初恋、その上一目惚れまでも奪い去っていった娘とは一体どんな女子(おなご)なのか。そしてその期待をAは裏切らなかった。初めは強張っていた顔をも今では打ち解けた柔らかな表情になっている。偶に笑みを溢すAに目を奪われることは何度もあった。




「……早く仕事場に戻ったらどうだ」
「そろそろ戻った方がいいね、今日はAちゃんに危険があったらだめだからって朝から≪非番の時だけでも≫って何度も頼まれてねぇ」
「………!」
「Aさん、またお茶でもしましょうね!」
「樋口、喋り過ぎだ。任務に向かうぞ」
「すみません先輩!!!」





実に十五分。
彼等がいた時間は中也にとっては長く感じられた。
静かになった部屋には気まずさ、と緊張が走った。




「ボスが言ったのは、本当だ。隠す心算はねぇが、いざ言われたら恥ずかしいな…」
『……』
「どうした……?」

『昔から人との関係でいい思い出がなくて…。でも、今来られた方々は歓迎してくださった。
家族のように、優しく、和気藹藹と、温かく、…それが』






それが、嬉しかった。
冷たい目も、距離も、無かった。





「そうか、なら良かった」
『あ、あと何度も頼んでくださったんですね』
「少し空気読んだらどうだ」
『え?』









何時もより世界が美しく見えた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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sana(プロフ) - 受験頑張ってください、応援しています!そして続きを楽しみにお待ちしております! (2017年12月3日 17時) (レス) id: 52058b4886 (このIDを非表示/違反報告)
アリ - よかったです!更新たのしみです!(≧v≦) (2017年11月8日 21時) (レス) id: df69f23047 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:澄風 | 作成日時:2017年10月8日 20時

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