33.迷宮ラブソング ページ32
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逆になんで、二宮さんじゃないとダメなんだろう？
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「…智くん。」
智「なに？」
「…もし、私が迷子になったら助けてくれる？」
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男の人なんか世界に無数に転がってる。言い方悪いけど。
なのになんで二宮さんじゃないとダメなんだろうか。同じ条件の人なら沢山いる。
なんなら二宮さんよりかっこいいひとなんて沢山いるし、二宮さんより優しい人なんて沢山いる。
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なのになんで、いつまで経っても吊り革を掴んで
私を見下ろして微笑む二宮さんを忘れられないんだろう。
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あんなシーンを見たのに。
胸の傷は死んでしまうほど、抉られたのに。
嫌いになってしまえば、楽になれるのに。今度こそ嫌いになろう、普通にしよう……って思うのに
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あの笑顔を見たら、一瞬でそんな考え吹っ飛んじゃうからタチが悪いんだ。
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智「助けない」
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ピン…と張った空気が私の目を貫く。
斜め上を言った智くんの回答に驚いて、ペットボトルを空いてるところに乱暴に置いてから
隣に座ってる智くんの方を向くと、パチンと音がしたように合う目と目。
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魔法を使われたように動かなくなった
息も吸えなくなった私は、智くんが次に紡ぐ言葉を待ちわびる。
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智「…助けないよ」
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智「迷子になる前に、最初から一緒に迷路に入るから助けれないな」
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ーーーー…あぁ。
…あぁ…………。
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「智くん………」
智「役立たずだなオレ」
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ちょっと困ったように笑う智くん。
役立たずなんかじゃないよ。いつだって斜め上。
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「最初から一緒に迷路に入る」なんてそんな解答考えてもなかった。
一緒に悩んでくれるなんて、そんなの…。
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「智くん」
智「ぅん？」
「私…、智くんを好きになりたい」
智「え？俺のこと好きじゃなかったの？ずっと嫌いだったの？うーわー、ありえなー」
「そうじゃなくて！…、男の人として好きになりたい」
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智くんの目が大きく開かれる。
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…そんなの。
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智「俺はもうAが好きだから、両思いまでもーすこし！」
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バカみたいに、優しいんだね。
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