24.チェックのマフラー ページ23
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あっという間の1時間半。
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「さっむ…！」
和也「激さむだな、これ…」
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ずっと暖房が効いているお店から出たなら、それはもう冬の冷たさが全身を一気に貫いていく。
お互いにブルル、と背筋を凍らせてテクテクと足を進めていく。
その時にふと気づく。歩幅を…合わせてくれている。
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たったそれだけなのに胸の奥がキュン、ってなる。締め付けられる。
漫画でよくある比喩表現だとか思ったけど、本当にキュンってするんだ。人の胸って。
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うぐぐ、って身を縮めて再びイルミネーションの方へと戻って行って。
二宮さんの車が見えてきた…ってところ。街がきらびやかさを増している。
二宮さんが歩みを止めた。
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「…？二宮さん？」
和也「…目。瞑って」
「へ…」
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私の鼓動が高鳴ったのは
私の呼吸が止まったのは
あなたが、急に真剣な
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二宮さんがゆっくりと私の方へとやって来る。その度にど…くん！ど…くん！とうるさいほどの心臓。
やめてよ、こんな大きな音じゃバレちゃう。
ドキドキしてる、って。下心丸見えだって、バレちゃう。
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「……っ…！」
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ひや…っと首元が冷たくなったのは、二宮さんの指先が私の首を掠めたから。
その感覚にビクッと体が震えて、反射的に目を閉じる。
二宮さんの温かい吐息が顔にかかるのが分かって、なんだかものすごい泣きたくなった。
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和也「開けていいよ」
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いつもより低い声がして、取り敢えずキスじゃなかった…って馬鹿なうぬぼれを追っ払う。
ゆっくりと瞳を開くと、…ひらくと。
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「え…？」
和也「今日付き合ってくれたお礼。赤、好きなんでしょ。」
「…すき…」
和也「それにコレ。「さとしくん」から借りたやつでしょ？返さないと」
「なん…」
和也「実は来る時ちょっと見えてたんだよね。マフラーつけてもらってるところ？」
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私の首元には、二宮さんが巻いてくれた
赤い、ふわふわのマフラー。
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智くんから借りたマフラーは二宮さんの手の中にあって
ニッコリ微笑んだ二宮さんからのプレゼントに
涙のせいじゃない、イルミネーションのせいで視界が滲んだ。
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