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「燐!!!」
『えっと、りょーさん?』
仕事で、身体的にも、精神的にも疲れ切ったまま学校に登校する。そんな日がずっと続いたある日だった。
僕が登校して、そんなに経たないころに、りょーさんが焦った様子で教室に入ってくる。
「燐、これ翔さんが。」
そう言って渡してくれたのは、店の従業員室に置き忘れた古典の教科書と、傷隠しの包帯セット。
『ありがとうございます。』
「お前、俺の睡眠時間削ってるんだから古典のテスト満点取れよ?あと、今日ヘルプつけ。」
『はい。(笑)』
「じゃあな。」
『酒抜けてないだろうし、帰り怪我しないで下さいね。』
「うっせぇよ(笑)。バカにすんな!」
りょーさんが去った後、一向に元の騒がしさに戻らない教室に違和感を覚え、教室中を見渡すと、全員が唖然としていた。
「…………燐??」
『どうした?』
「今の人と、どういう関係だ?」
『えっと、仕事の先輩?』
「孤鳴君、あの人と距離置いた方が良いよ!!」
クラスの男子だけならまだしも、女子まで可笑しなことを言ってくる。なんで?りょーさん、何かあったのかな。
「きつね君は知らないだろうけど、登坂陵はここら辺の地域一帯をしめてたグループのリーダーで、暴走族の幹部。挙げ句の果てにはホストなんだよ。」
母さんを狐みたいと言った女子生徒。今は何故か、僕のことをきつね君と呼ぶ。
『皆にとって、悪害だったの?』
「この町で一番恐れられてるよ。」
『けど、人を売って金にするやつよりかはましじゃない?』
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名:reon | 作成日時:2018年3月14日 22時