Day.3-2 ページ9
「奏汰くんったら……」
「どうしました〜？」
「もう、急に不思議なこと言ってくるんだから、ビックリしちゃったよ」
そう言って、別段怒ってないことを示すように笑った。
その笑顔を見て安心したのか、奏汰の表情も明るくなってゆく。
Aは大の字に寝転んで、青い空を見上げた。
砂の少しチクチクした感触が、今はちょうど良い。
奏汰も一緒になって寝転んだ。
ふたり分の裸足だけが、海の水に浸っていた。
「奏汰くん、またアイドルの話してよ」
「『きょうみ』、あるんですか？いいですよ〜」
「うんうん、なんだか聞いてると楽しくて！」
こくこくと頷く彼女を、奏汰は穏やかな表情で見守る。
空を見上げると、エメラルドグリーンに空色が映えた。
「では、ぼくの『ゆにっと』のはなしをしましょう」
「ユニット？」
「はい。ちあき、てとら、しのぶ、みどり……みんなといっしょに、『ヒーロー』をしているんです」
「奏汰くんは、ヒーローなの？」
「そうですよ。ぼくは『りゅうせいたい』の、ぶるうなんです」
日差しに眼を細める彼には、青がよく似合いそうだ、とAはぼんやりと考えた。
鮮やかな水色の前髪は、濡れて形が少し崩れている。
愛しいものを見るような目。
そんな目で自分のユニットを語る奏汰を見て、よっぽどその人たちのことが好きなんだろうな、とも思う。
「アイドルでヒーロー？面白いね！」
「ふふふ、そうですよ〜。とっても『ふしぎ』な『ゆにっと』なんです」
奏汰はそう答えると、不意にそういえば、と考えるような仕草を見せた。
Aがそんな奏汰のことを見つめると、視線に気がついたのか、彼もこちらを向いた。
深い青に、水色がパチリと合う。
何故かふたりとも、目をそらすことはできなかった。
「Aのことも、おしえてください」
「え？」
「ぼくも、Aのことがしりたいです」
「……私のこと、か」
柔和な笑みを浮かべる奏汰に、Aはどこか切なそうな表情を見せた。
嬉しさが多分に混じった、複雑な表情だ。
答えづらいのか、彼女は彼から目線をそらし、空を見上げた。
よく晴れた空に浮かぶ白い綿雲は、彼女の気持ちなど知らずにゆっくりと動いていた。
「どんなことが知りたい？」
「どんなこと、ですか？」
「うん。語れるようなことは、あんまりないけどね」
そう言って、空に向かって笑顔を見せた。
彼女の横顔を、奏汰は不思議そうな表情で見つめていた。
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うーちゃん - 感動しました！！儚い恋ですね☆ (2016年9月14日 20時) (
レス) id: 822060fcb6 (このIDを非表示/違反報告)
菜舞(プロフ) - あ、、泣きました…。すごくいい話で…完結おめでとうございます！！ (2016年8月19日 17時) (レス) id: 0a934d2445 (このIDを非表示/違反報告)
ぺり - 菜舞さん» わ〜〜ありがとうございます（ ; ; ）儚い感じを目指しているので、そう言っていただけると本当に嬉しいです…！ (2016年8月11日 22時) (レス) id: 6abc9b85c5 (このIDを非表示/違反報告)
菜舞(プロフ) - こんなに素敵な小説初めて見ました！！！儚い感じがすごく好きです… (2016年8月11日 21時) (レス) id: 0a934d2445 (このIDを非表示/違反報告)
ぺり - 湊朔さん» ありがとうございます！まだまだ未熟ですが、もっと魅力的な世界観を目指して頑張ります！（ ; ; ） (2016年8月10日 9時) (レス) id: 6abc9b85c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺり | 作成日時：2016年8月9日 15時
