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｢ゃめ、…やだ｣
｢じゃあもっと本気で嫌がってくださいよ｣
｢…い、いやがってる、って…！｣
合意だなんて一言も言っていない。私はただ、この男の悪事を捌いて、もうしないって誓わせて、大人しく出ていってもらうつもりで…つもり、で、｢それで？｣と続きを促すように優しく問われ、続く言葉が見当たらずに唾液を飲み込む。合意じゃない？咄嗟に強く拒否できないのは、甘んじて受け入れていることと同じじゃない？
もう待たないと言わんばかりに口内へと捩じ込まれた生ぬるい感触が、憚りなく中を掻き回しもう快と不快の判別もわからなくなってしまう。錯覚する。私は深夜まで彼の帰りを起きて待っていた、よくできた恋人なんじゃないかって。馬鹿げた妄想に耽りながら、口内に蔓延る甘い濁りをごくりと呑み込む。
以前、朝起きたら部屋に煙草が落ちていたことがある。
夢をみるようになってすぐのことだ。興味本位でそれをガスコンロの火に翳し、吸ってみた。煙を少量流し込んだだけで瞬く間に喉が焼かれ、咳が止まらなくなってしまったを憶えている。
(あの時の味だ)
留めきれなくなった一筋が、眦を伝って耳の方へと流れていくのが気持ち悪い。止まってお願い。然もないと、胸が締め付けられるような気持ちなんて全部この苦さのせいにする。
やっとのことで唇が離れたときには、全身から力が抜け、身体中が言い知れぬ心地良さに包まれていた。伝った銀糸を舐めとって、恍惚とした悪魔が笑う。その笑みを目前に、ぷつんと糸が切れたかのように、敗北の二文字が私の脳裏に浮かび上がる。微細な余力で彼の胸をぐ、と押し退け、浅く息をして項垂れた。
｢…ここに、来ない日は、他の誰かのところへ行ってるの｣
｢…ふは、いいえ？××さんだけに決まってるじゃないですか｣
｢じゃあなんで、昨日や一昨日は_____｣
｢だから俺、その蕩けた顔が好きなんですって｣
彼はそう言って、今度は鎖骨に優しいキスを落とした。それからベランダの方を振り返り、雲ひとつない夜空に揺蕩う黄金色の満月を見上げる。今夜は、月が奇麗。そうだ、こんな夜は、互いの顔がよく見えるのだ。
_______まあでも、お望みならずっと閉じ込めてくれてもいいですよ。
いいの？、なんて零しそうになるのが彼の言う｢堕ちる｣ってことなら、私はもう、降参だ。
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うろせ。(プロフ) - Kaniskaさん» 激励のコメントありがとうございます❀.(*´ω`*)❀.そのお言葉だけで次回の更新も頑張れます…！引き続き楽しんで頂けましたら幸いです。 (2022年1月5日 23時) (
レス) id: 0cdd3406db (このIDを非表示/違反報告)
Kaniska(プロフ) - エンゼルウィング、とても好きです…最後の説明の一言で、もう心臓をやられました。ほんとうに好きです。更新頑張って下さい (2022年1月2日 21時) (レス) id: 83384417ab (このIDを非表示/違反報告)
うろせ。(プロフ) - ゆうなさん» コメントありがとうございます(❁´ω`❁)季節外れのバレンタインネタでしたが、楽しんで頂けたようで光栄です。引き続きよろしくお願い致します！ (2021年11月24日 17時) (レス) id: 0cdd3406db (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - きゃー！！！！！！！！！！！！！新作おめでとうございます！！！そしてありがとうございます！初っ端からciくんのお話でバレンタイン！夢主とciの会話が甘々で可愛いぃぃ！！これからも頑張ってください！！！！！！！！ (2021年11月5日 2時) (レス) @page2 id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うろせ。 | 作成日時：2021年11月4日 17時
