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Twenty-eight ページ30

記憶細胞は歩きながら、やはりどこかおかしいと思った。
さっきまであんなに楽しそうにしていたAが上の空なのだ。
いや、上の空という言い方には少し語弊がある。記憶細胞の話にはしっかり相槌を打っているし、どうやら考え事をしている訳ではないようなのだ。
A本人から話そうとしない、ただそれだけ。マスト細胞達と別れてからずっと、何となく浮かない顔をしていて。
記憶細胞は尋ねようとも思った。しかしAはきっと、大丈夫だと言うのだろう。たとえそれが真実でなかったとしても。
だからもう少し様子を見てみることを選んだ。
「A、もしかしてさっき緊張してた? 」
「そんなことないですよ……多分」
「多分ってなんだよ」
少し笑ってみせると、Aも釣られたように笑う。
だが違う、いつもの笑顔ではない。
見ている方まで自然と笑顔になってしまう、それがAの笑い方。でもそれとは異なる。今はまるで愛想笑いみたいな笑い方だ。
記憶細胞は焦りを感じた。
何故なのかは分からない。でも無意識のうちに、Aが自分から離れていってしまうように思えたのかもしれない。
何か話題を探さなくては。
そう思ったのは記憶細胞にとって初めてだった。今までAと話している時は自然と言葉が出てきていたのだから。
そんな時、ふとAの髪が目に入った。短く切り揃えられた、Aの髪が。
「Aはショートも似合うけど、長くても似合いそうだな」
Aが歩みを止めたのを見て、記憶細胞はハッとした。
Aが髪を短くしている理由が頭からすっかり抜け落ちてしまっていたのだ。Aは過去を思い出してしまったんじゃないだろうか。
記憶細胞の背中に冷たい汗が流れる。
「それは……」
やっぱり今のは聞かなかったことに!なんて言えるはずもなく。
記憶細胞は固まってAの次のセリフを待つしかなかった。
「マスト細胞さんみたいだからですか? 」

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設定キーワード:はたらく細胞 , 記憶細胞   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:futureblue鏡 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月8日 17時

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