Twenty-two ページ24
B細胞の傍にいた白衣の女性が、訳が分からないとでも言いたそうに顔をしかめていた｡
「えっと……? 」
初対面の女性にAは困惑した｡少しだけ出てきていたのに、再び記憶細胞の後ろに隠れてしまう｡
「Aは会ったことなかったよな｡彼女は｣
「アタシだって自分の名前くらい言えるわよ」
記憶細胞はセリフを女性に遮られたことで口を閉じた｡
「アタシはマスト細胞｡あなたは? 」
あ、あんまり怖くなさそう……｡
そう思ったAは今度はちゃんと前に出て話す｡
「私は細胞のAです｡よろしくお願いします」
ペコリと勢いよくAは頭を下げた｡
「細胞さん、Aって名前なんですね」
「いい名前ね」
「ありがとうございます、記憶さんにつけてもらったんです」
へらりとAは照れたように笑ったが、B細胞とマスト細胞はお互いに驚いた顔を見合わせていた｡
まるで、本当に記憶細胞が!?とでも言いたそうな顔だ｡2人の中で記憶細胞は一体どんなイメージを持たれているのやら｡
「Aは2人の仕事は知ってるか? 」
「いえ、知らないです」
呆気にとられている2人などお構い無しに、記憶細胞はAに尋ねた｡
「B細胞くんは」
「俺は抗体を作って戦ってます! 」
またもやセリフを奪われて記憶細胞は再び口を閉じた｡
その表情には悲しみが含まれていたが、B細胞は気づかず説明を続ける｡
「そんで、マスト細胞はヒスタミンを出すのが仕事です」
「ちょっと」
「異物に反応してマニュアル通りにヒスタミン出すらしいんですけど」
「ねえ」
「でもいつも出しすぎて細胞さん達に文句言われてるんですよ! 」
「アンタいい加減にしなさいよ! 」
とうとうマスト細胞がキレて、B細胞と喧嘩になってしまった｡
取り残されたAと記憶細胞は止めようとしたが、どうすべきか分からず途方に暮れていた｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年3月8日 17時
