赤い目のゆううつ～帽子と包帯を添えて (ページ1)

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1話出会い① ページ1

１話出会い①

NOSide

カチッ…カチッ…カチッ…
単調のリズムで古時計の奏でる音だけが、部屋に鳴ッている。

部屋には二人の青年がいた。
一人はベッドに寝転がッて、もう一人は壁にもたれてぼーッと天井を眺めていた。

？「……なぁ太宰、首領から何の連絡も来たねぇのかよ。」

ベッドに寝転がッていた青年…中原中也がぼやく。まだ声変わりしていないのだろう、少し幼い印象を覚える声が、少し掠れるようにして壁にもたれていた青年…太宰治にかけられる。

太宰「…その通りだよ。中也。」

太宰が小さく返答をした。
その声からは感情が感じられず、ただ淡々と事実を述べているように聞こえる。

その答えに中原は溜息と共に「嗚呼……」と云った。

彼らは、ポートマフィアという組織の構成員である。
異能を持ち、ポートマフィアの中でもかなりの地位を持っている。

そんな彼等が今、この重苦しい空気の中タイミングを知りあぐねたように押し黙っているのには、キチンと理由がある。

彼等は、先日課された任務。
一週間に渡って行った、敵組織との大規模な抗争で大きな失態をしてしまったのだ。

それなのに、彼等を処分でも懲戒でも出来るはずのポートマフィアの首領、森鴎外からは何も無く、それどころか少し休暇を取れ。と、部下から伝達まで受け取ったのだった。

中原「…太宰、お前はどう思ッてる。」

太宰「どうもこうも、私にも良く分からないからこう考えあぐねているのだよ…。」

…部屋にまた沈黙が戻り、時計の音が存在を主張し始める…………………