『蛙が四匹』 ページ4
叔父が死んだ。
随分と呆気ない死だと思う。
彼の太宰と云う叔父の友人が善意で用意したのであろう墓の前で、フランは叔父の事を思い出した。
ほんの数ヶ月しか共に暮らさなかったフランでも、叔父の人の善さは重々理解していた。
抗争で親を亡くした孤児を決して多いとは云えない給料で養い、妹の息子までを養う事になった叔父は、本来なら弱音の一つでも吐いても可笑しくはないが、最期まで弱音の一つも吐かなかった御人好しな叔父に銃を取らせ、殺しをさせたという軍人崩れの男に、フランは少し興味が湧いた。
まあ、男は叔父の手によって殺されている為、フランは興味を満たすことはできないのだが、、。
話は変わるが、別にフランは叔父の死を愁いてはいない。
前世では一時期暗殺部隊の幹部を務めていたのだから、数ヶ月間の付き合いであった肉親の死くらいでは、フランの強靭な精神には罅すら入ることはないのだ。
「衣食住を奪われた事は不満ですねー、これからどうやって生きていけというんでしょうかー?」
そうなのだ。
フランの唯一の頼みの綱である叔父が死んだ以上、フランに居場所等存在しなかった。
太宰を頼るという手も考えはしたのだが、フランとすればあの包帯塗れの男と衣食住を共にするのだけは避けたかった。
仮に共同生活をしたとするが、あの暑苦しい格好を真夏に見せられたら給ったもんじゃないだろう。
見ている此方が暑くなるに決まっている。
ならばどうするか、そこで閃いたのがポートマフィアへ加入する事だった。
マフィアの生活というものも、フランにしてみればさして苦もないだろう。
何度も云うようだが、あの暗殺部隊にいたのだ。
言語は七カ国語は優に理解可能だし、戦闘能力も低くない。
今世は幻術に加えて異能まで使えるのだ。
其処まで考え、フランはマフィアに加入することを決意した。
面倒なのは御免だが、衣食住の為には仕方のない事なのだ。
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威月 - ちょう面白いです!続き待ってます。頑張ってください!! (2020年12月9日 17時) (レス) id: 6561cece79 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 更新、がんばってください! (2020年4月13日 16時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)
wayu0112(プロフ) - かなでさん» ありがとうございます。たしかに探偵社だとカオスですし、国木田さんの胃に確実に穴があきそうですねwww。更新がんばります! (2019年8月10日 20時) (レス) id: bed71cde77 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - フランとリボーンが好きなので面白かったです。更新を楽しみにしています。 (2019年8月10日 19時) (レス) id: c0e56c43e5 (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - 探偵社に入社していたら毎日カオスですね笑。すっごく面白いのでこれからも自分のペースで更新してください!楽しみにしています! (2019年8月10日 15時) (レス) id: 5c0695dae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:wayu0112 | 作成日時:2019年7月5日 10時