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【備考】
◆ ベース演奏
彼の奏でるベースは、おそらく落ち着いた印象であろう。
楽譜通りの演奏、コピー曲であれば、コピー曲どおりの演奏をすることに心がけており、アレンジは少ない。
そして、そこまで目立つような演奏をせず、周りに合わせたりすることがほとんどである。
ベースの音をその曲に合わせることを意識しているらしい。
ただ、お酒を飲んでいたり、気分が異様に高い状況となると、彼のベースは自由度が増す。
落ち着きが消え、演奏がよりリズミカルになったり、アレンジが増えたりする。
どうやら、こういった状態の時は、ベースを魅せるような演奏をしはじめる様子。
たまにベースが浮きかけて、そこを指摘され、シュンとすることもあるのだとか。
◆ 過去
ただ、ふと気になっただけだった。
大学の帰り、やけに賑やかな声が聞こえる場所があった。
普段ならスルーする場所。
しかし、何故かその日は興味が湧いてしまい、彼はその賑やかな方へ向かっていたのだ。
そして、楽園を見つけてしまう。
昔、テレビ等で見たような、バンドマンの集まり。
クラシックを今までしてきた彼には、全く関係の無い世界。
そう思っていたのに、彼は彼らの演奏の虜になっていた。
賑やかで楽しくて、何よりかっこいい。
今まで聴いてきた音楽とは全く違う、新鮮さに酔っていたのだろう。
そんな中、彼はある音を聴いた。
自分の弾いてきた楽器のように低い、綺麗なあの音を。
そう、気がつけば彼は、ベースの音に惹かれていた。
なんて素敵な音色なのだろう。
今まで古風な音色を奏でてきた彼には、その音があまりにも輝いて見えたのだ。
そこから、大学に通いつつも、ベースを買って、練習をするようになった。
練習時間は周りよりは劣るが、それでも何とかものになるようになって。
……けれど、あの時のベースの人とはなにか違った。
同じようにベースを買って弾いているのに、技量も追いついてきたと感じているのに、どこか違う。
その違いは、なんなのか。
悩んでいたある日の帰り道。
彼は見つけた、ひとつの店を。
賑やかな楽器の音が響く、その場所に彼は気がつけば入っていた。
そして、現在彼は。
◆ 大学
国公立の音楽大学に通っている。
名前がはっきり出されたことはなく、よく「和辻の音楽大学」と書かれていることが多い。
ちなみに、彼は弦楽器コースに入っている。
元々、コントラバスを弾くために、音大に入ったためである。
そのため、大学ではコントラバス演奏をしている。
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