忘れられない人 (ページ35)

今日:23 hit、昨日:0 hit、合計:22,627 hit

35 ページ35

こんなもの…いつの間に！？

俺は一瞬で背筋が凍った。

飛貴は嬉しそうに笑いながら、

「瑞稀くん…もう俺に逆らえないね。」

俺を抱きしめて、そう耳元で囁く。

俺は呆然としたまま動けずにいた。

『飛貴…お前は、、俺を騙したの？』

「騙したなんて。俺はただ、瑞稀くんを諦めるなんてできないだけ。俺には瑞稀くんだけなんだ。」

『お前… どうするつもり？』

「やだな、そんなに警戒しないでよ。これからも俺と付き合ってくれればそれでいい。俺の望みはそれだけだよ。」

『お前と付き合うって…そんなこと…』

「こっそり付き合うってことでも俺は構わないよ。兄貴の手前、隠れて付き合ってたほうがいいかもね。」

「だから、表向きは例の先輩と付き合っててもいいよ。本当は嫌だけど…俺は2番目でも気にしない。」

『飛貴、、お前…何言いだすんだよ…そんなこと、出来るわけが…』

「そうだよね、瑞稀くんは真面目だから二股なんてこと出来ないよね…だったらどうすればいいか、わかってるよね？」

有無を言わさない顔でそう話す飛貴。

俺は…それ以上、何も言えなかった。

飛貴、お前はどうしちゃったんだよ…

こんな罠を仕掛けてくるなんて、思ってもみなかった。

まんまと罠にハマって、騙されるなんて…俺はバカだ。