ルーティン ページ6
万里SIDE
「じゃあAは劇団の家政婦ってことね」
「いいわねぇ、一人暮らしより楽しいだろうし」
『劇団に来てからずっと、毎日笑顔ですね〜』
隣で嬉しそうに劇団のこと話すAに、前に座っているお袋と姉貴の顔まで綻ぶ。
姉貴を待つ間、Aと久々にゲーセンに行って、その後。
合流した姉貴は、スーパーの袋を俺に押し付けながら、[じゃ、帰るわよ]とAに言ってのけた。
ここまで言えば想像は付くだろう。
そう、Aは、俺の実家に晩飯を食いに来ている。
*
『もう毎年恒例だな、これ』
「多分今後も、姉貴とお袋は当たり前のようにやるだろうな」
『それは嬉しいね』
数十分で晩飯を食い終えた俺達は、ソファでゲーム機片手に呑気にやり取りしていた。
姉貴は風呂だ。親父は帰るのが遅いし、摂津家では基本、姉貴が一番風呂と決まっていた。
あぁ、姉貴がいる時に俺が一番風呂に入れた試しはねえ。小6で諦めた。
「ただいま」
『あ、万里パパ。おかえりなさい』
「おかえりー、っとA!レアボス!」
『え、遭遇することさえ難しいあのレアボス?マジか助けて至さん』
「いや今あの人紙装甲…げ、言ってるそばから!」
『ブフォッ至さ、ちょ、弱すぎ』
最近では定番になった3人でのオンライン共闘だが、至さんがすぐにふざけたり裏切ったりする所為で進捗はイマイチだ。平均に比べればめちゃくちゃ早いが。
「はは、Aちゃんと万里は相変わらずだな」
『万里パパ、年明け早々出勤だったんですか?』
「それがね、午後になって急に呼ばれちゃって。参ったよ」
『うわあ、お疲れ様です…どうする万里、社会人になりたくないね』
「至さん見てっとあんなのでエリートやれるんだなって思うけどな」
『それな』
ちなみに言っておくが、この間俺とAの指は動きっぱなしである。
『よっしゃギリギリ勝った』
「寮に帰ったら至さん絞めるぞ」
『心得た』
ちょうどキリ良くゲームを終えたところで、姉貴がリビングに戻ってきた。
「ほい次、Aー」
『はーい。万里パパ、ママ、先にお風呂もらいます』
「ごゆっくり」
「タオルはいつものところね」
Aが家に来て晩飯を食った時は、姉貴の後に風呂に入って帰るのがルーティンと化している。
あいつが初めて家に来た時から見慣れた光景だ。
「「「…」」」
あぁ、そうだった。
Aが場にいない間、俺が親父達のニヤニヤした視線を浴びるのもルーティンだ。
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時