春王 (ページ6)

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「あ、ねえみかちゃん！」
「はい」
お会計を待っている時、ふと伊沢さんに声をかけられてどきっとする。
「もしもっと知識増やしたいって思ってるならさ、一度ここ遊びにおいで」
そっとメモ帳を渡された。

一番上にはQuiz Knockと記されていて、住所といくつかの日にちと時間、それからラインIDが書かれていた。

「くいずのっく…？」
「詳しくはラインするから追加しておいてほしい！」
「は、はい！」
「待ってるよ！」
そう言って伊沢さんは他のサークル員と二次会に行ってしまった。

暗い道を川上さんと二人で歩く。最寄駅も同じだ。
「みか、伊沢さんと何話してた？」
「川上さん聞こえてなかったの？」
「最後の方の伊沢さんがペテン師の話しか聞こえへんかった」

思わず吹き出す。

「伊沢さんってそんなキャラなん？」
「キャラというか実際かなりのイタズラ好きだよ」
「そうなんだ…」
「…でも、いい人よ。知名度あるし、仕事できるから」
「そっか、川上さんが言うならいい人やね」

「みか…」

「ん？」

じっと見つめてくる川上さんに気づいて、私も見つめ返す。
するとすぐに目をそらされて
「何もないよ、」と返ってきた。
「川上さんどうしたの」
「んーん、それよりはよ寝てな」
いつの間にか私のマンションの前。ありがとうとおやすみを言って、部屋に帰った。