その38 叶えるのに ページ41
カーテンがひらひらと舞った
それと共に鳩の羽もふわふわと彼を包んだ
蒼い月の光が、その美しい銀髪を透かした
鳩羽色の瞳が、刃を突き立てるようにこちらを見据えている
『夜の学校って雰囲気ありますよね』
「ハハハ！そうですねぇ！」
端から見れば談笑しているだけと思う人もいるかもしれない
けど、その会話の笑顔の裏にはお互いに冷えきった心があるだけだ
私から見た"それ"は"日々樹渉"としての彼ではなく、"五奇人"としての彼だった
その瞳は私を責め立てるように見下ろす
『……私、貴方に何かしたつもりないんですけど』
私は、この願いを叶えるつもりで生きているの。
＿＿＿＿＿
「やはり、貴方はつまらない」
その言葉と共に突然風が強くなって、カーテンが強く揺れる
それと同時に私の視界は塞がれて、次に目を開けたときには、一枚の鳩の羽がはらりと落ちただけだった
それは"ただの願い"なんて、そんなの
『……もう、わかってるよ』
「何もわかっていないだろう、お主は」
後方から声が聞こえた
驚いて振り向けば、あの鳩羽色とは比べ物にならないくらい鋭い視線が私を突き刺した
突き立てるなんて、そんな柔らかい表現では収まらない
深緋の瞳が夜闇の中で冷たく光った
その瞳を見た瞬間から私はもう殺されていた
『……ッ…』
短い悲鳴が漏れそうになる
「何もわかっていないから、そんな計画を立てるのであろう？」
そんな計画、
全部知られていた。全部、全部、なにもかも把握されていた？
「どうせ、お主はそれを辞めるつもりなどさらさらないだろうが」
ゆっくりと私へと歩を進めてくる
やがて、私の目の前まで来ると
しゅるっと髪に結ばれていたリボンを解いて
「……あとで泣きを見ることになるのはお主の方じゃ」
ただ、一言。冷たく言い放った
リボンが音もなく落ちた
息が詰まる、苦しい
朔間先輩が教室から出るまで、まるで操られているかのように息が出来なかった
でも、朔間先輩が教室の扉を閉めた瞬間に肺が酸素を取り込むことに成功した
『……ッは、ぁ………はぁ…ッ……！』
息をするのと同時に膝から崩れ落ちて
目からとめどなく涙が溢れてくる
本当に呪いから解けたようだった
それでも、恐怖はまだ消えていなかった
自分を慰めるように自分の身体を抱きしめて
震える身体を落ち着けようとしていた
すると、緊張が解けたからなのか、突然眠気が襲ってきた
ここが学校だということも忘れて、私は倒れ込んだ
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あり(プロフ) - 。さん» まじでありがとうございます。修正いたします！ (7月9日 22時) (
レス) id: 464bb8ff7d (このIDを非表示/違反報告)
。 - 20話の敬人の苗字【蓮見】じゃなくて【蓮巳】です (5月7日 11時) (レス) @page22 id: 9c37ed3b41 (このIDを非表示/違反報告)
イキリだした陰キャ - はちみつさん» コメントありがとうございます！伝えたいことが伝わっててすごく嬉しいです…！ただ闇が深い子よりもみんなが抱えてそうな病みをなんとなくでもわかっていただけたら幸いです…！！ (2020年4月27日 17時) (レス) id: 1bb0adca1d (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 切なくて泣きそうになるけど所々ギャグがあって面白いです！！更新がんばってください！ (2020年4月3日 0時) (レス) id: 25159701e6 (このIDを非表示/違反報告)
イキリだした陰キャ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただきありがとうございます！更新は早めにできるように努力します…！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 6bf35dac11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありーむ x他2人 | 作成日時：2018年1月14日 13時
