第四話 ページ5
明らかに警戒されていることを肌で感じ、モナが助け舟を出した。
「探していた知り合いの子がいるって言ったらどうだ?」
モナの言った通りに蓮が言うと、柚は少し疑うような視線を向けていたが、「ちょっと待ってて下さい」と言って建物の中に入っていった。
「本当にここなのよね、双葉?」
「私が出した情報に間違いはない」
真の問いかけに双葉がそう返していると、中から柚がパタパタと出て来た。
「今回は特別ですからね?あと、すみませんが猫は中に入れるのを控えてもらっていいですか?」
「ありがとう」
「モナ、ちょっと待っててね」
「我輩は周囲を調べておこう」
こちらにどうぞ、と言われるがままに案内をされた蓮達は施設の中を見て回った。
「ここには、虐待を受けた子や親を亡くした子達がいます。みんな凄く良い子なんですよ」
「ここを運営しているのは…」
「あそこにいる八奈見さんです」
子供達に勉強を教えている八奈見を示し、柚は「知り合いの子はいますか?」と言った。
「え、えーと…」
杏が探している振りをしていると、真が部屋の壁際に置かれたドールハウスに目を留めた。
「これって……」
「それは政治家の人が寄贈してくださったドールハウスです。凄く立派なので遊ぶのが勿体無くて、飾っているだけになっているんですけども」
「確かにこれは美しいな…」
祐介が興味深そうに眺めていると、ドールハウスの陰から小学生くらいの少女が出てきた。
「柚お姉ちゃん、遊ぼう?」
「佳代子ちゃんごめんね。今はちょっと手が離せなくて…。って、それどうしたの?」
柚に懐いている少女、佳代子の腕の一部が腫れていた。火傷でもしたのかな、と考える柚に佳代子は一瞬表情を曇らせる。
勿論、怪盗団の面々はそれを見逃さなかった。
「大丈夫?」
「うん。」
「あ、でもこのままにしているのもなんだし……救急箱取ってくるね」
柚が部屋から出て行くのを見送った佳代子は、あることをポツリと呟いた。
「怪盗団…本当にいるのかなあ…」
24人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒマリン - 明智かっこよすぎる (2021年1月6日 10時) (レス) id: 88fe224ab8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茜 | 作成日時:2019年12月31日 3時