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「私ちょっとお手洗いに行くね」


「ああ」


そそくさと席を立つレティの後ろ姿を見て、ミスタが何ともまあ下世話な話を始めた。


「ここだけの話……フーゴとアイツがくっ付いてくれれば、フーゴもちょっとは静かになるのになァ」


「おいミスタ……聞こえたらどうするんだ」


少し離れた席でケーキを食べている二人ーー主にフーゴーーを気にしつつ、ブチャラティは嗜めるように言った。


「だがよぉ、実際にフーゴを大人しくさせれるのはレティしかいねえ。お前さんも薄々思ってはいるだろ?」


「まあ…そうだな」


すると、二人のそんな会話を黙って聞いていたアバッキオが珍しく口を開いた。


「でも、そうなるとキレたらヤバイ恋人を持つレティも苦労が絶えないな」


そう。フーゴはキレやすいのではない。普段は真面目で誠実な青年だからこそ、キレた時が恐ろしいのだ。


「けど、アイツにチーム以外で男ができたとする。アイツはその男にメロメロで、そんな時にフーゴがキレたら……誰が止めるんだ?」




ーー沈黙。




誰も解決策を言えなかった。


「おい……あんまり滅多なことを言うんじゃあねえ」


「悪ィ、ブチャラティ。だがよ…俺はそれが気になって気になって夜も眠れ……」



「何が気になるの?ミスタ」



戻ってきたレティが、小首を傾げてミスタの後ろに立っていた。

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作者名: | 作成日時:2019年4月28日 19時

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